東北中でキャップをかぶる人がいる球団になりたい

私自身も違う業界からプロ野球界に入ってきて、これからもやれることはたくさんあると感じています。優勝すると選手の年俸は総じて上がります。しかし球場のキャパシティがいきなり増えることはないので、年俸を上げるにも限界があります。あとは放送権で稼ぐ方法が考えられますが、日本は規制が厳しく、簡単にはいきません。そこをNPB(日本野球機構)と一緒にビジネスモデルをつくって乗り越えていければ、売り上げを増やすチャンスはあるはず。今回の優勝で日本はプロ野球熱が高いということを実感できたので、そこはあきらめずに挑戦していきたいです。

いずれにしても私はまだ1年半しか球団経営に関わっていません。13年の優勝も、前任の島田社長や過去の監督、スタッフも含めた全員の力によるものだと思っています。いま私たちがやっていることが花開くのは、5~6年先。そのときには東北のどこにいってもうちのキャップをかぶっている人がいるくらいに、みんなに愛される球団になっているといいですね。

東北楽天ゴールデンイーグルス社長 立花陽三
1971年、東京都生まれ。私立成蹊高校卒。94年慶應義塾大学総合政策学部卒業後、ソロモン・ブラザーズ証券、ゴールドマン・サックス証券を経て、メリルリンチ日本証券に入社し、11年同社の執行役員に就任。12年8月から現職。小学生から始めたラグビーで、99年、母校、慶應義塾大学ラグビー部のコーチに就任し、優勝に貢献した経験も持つ。
(構成=村上 敬 撮影=宇佐美雅浩)
【関連記事】
楽天球団社長の「ポンコツチーム」再建秘話【1】
ビジネスモデルに見る「プロ野球再生」の道
「生まれつきが99%」為末発言の真意
儲かる野球で優勝も!楽天の強かなソロバン勘定
楽天イーグルス躍進! 野村克也が語る「一流プロの化かし合い」