――プロ野球は早くも次のシーズンに向けて動き出している。13年の優勝と黒字化はただの偶然ではないことを証明するために、取り組まなくてはいけない課題もある。とくに気になるのは、田中将大投手のメジャー移籍。24勝をあげた絶対的エースの穴を埋める必要が生じる。
13年11月24日に行われた仙台でのパレードには21万人が集まった。

田中投手ぐらい絶対的な存在になると扱いに困るんじゃないかとよくいわれるのですが、実際は逆。彼は性格や練習態度、ファンへの接し方も含めて、本当にすばらしい男です。今シーズン、チームが連敗して苦しいときに投げた彼の姿を見て、選手たちも大いに勇気づけられたと聞いています。

まだどうなるのかわかりませんが、最悪のシナリオも考えています。精神的なところはコントロールできないので、フロントとしては、まず数値的なものを考えなくてはいけないでしょう。とくに重要なのは田中投手が毎年投げていた200イニングというイニング数。まずはこれを埋められる選手が必要。そこをうまく補強できても、おそらく失点は増えるでしょうから、それ以上に得点を増やす補強も必要です。

ただ、あくまで個人的な意見ですが、人が動くこと自体はいいことだと考えています。日本の企業は転職などで人が動くことをネガティブにとらえがちですよね。実力社会であるプロ野球界でも、人を抱えようとして、滅多にトレードをやりません。そのため才能のある人が活躍の場を得られずダメになってしまうケースも多々あります。これでは誰もハッピーにならない。日本の野球界はもっと人材の流動性を高めてもいいし、野球界がそうなれば、硬直しがちな日本の企業に向けた、いいメッセージになるのではないかと思います。