東北6県で、いかに1000万人のファンをつかむか。これが私が掲げた目標でした。そのために2013年は一軍の試合を、青森を除く5県で開催しました。正直、単独で見れば赤字の部分も出てきています。でも、これをやり続けていかないと、ファンとの距離は縮まらない。青森は球場の関係でできないのですが、いずれは青森を含めて6県でやりたいと思っています。

ファンをつかむという点では、ユニホーム組と背広組の距離も問題でした。平たくいうと、選手のほうが偉くて、球団職員はあくまで裏方という位置づけ。職員は選手にコミュニケーションしてはいけないような空気さえありました。どうして選手と職員に距離があるといけないのか。それは、ファンの声を直接聞くのは背広組だからです。ファンが選手に頑張ってもらおうと職員に何か伝えても、職員と選手のコミュニケーションがないと、ファンの声は選手に届きません。ファンとしては別会社に要望を伝えているようなもので、応援のしがいがないですよね。

選手のほうにも不満が溜まります。たとえば「被災地で何かやりたい」と思っても、直接職員に伝える環境ではなかったため、担当者に伝わるまでに複数の部署を経て、かなりの時間を要してしまう。

そういう環境を改善したくてつくったのが、「ファンリレーション室」です。これは、ファンの声や選手の要望をワンストップで引き受ける部署で、先日のファン感謝祭も、選手からもっとファンと触れ合いたいという声が上がり、それをファンリレーション室で企画にしていきました。

ユニホーム組と背広組の壁がなくなって、職員の意識も変わりました。やはり職員が選手をいちばん愛する存在にならないと、ファンからも愛されないし、チームは強くなれない。逆にいうと、13年に優勝できたのは、職員が頑張ってくれたからでもあるんです。

今回のクライマックスシリーズや日本シリーズでは、ファンに「バンバンスティック」というものを配り、バンバンと音を出しながら応援してもらいました。これは職員のアイデアで始めたのですが、球場に圧倒的なホーム感が生まれて、選手たちの支えになった。まさに職員が勝利に貢献したわけです。

もちろんバンバンスティックだけではありません。職員はシーズン中から、球場の周りに子どもたちを乗せる電車を走らせたり、夏は砂場をつくったりと、いろいろな企画や催し物でファンを呼び込み、チームを盛り上げてくれた。その証拠に、うちはホームでの勝率がいい。これはまさにファンと選手、職員が一体になった結果でしょう。