「空気を読む力」がますます高度に

外国人がどんなに日本語がうまくなっても、空気を読むことができなければ、省略された真意を間違ってしまう。日本語は主語を省略することも多いし、相手への配慮で否定的なニュアンスを避けるから、断るときも「大丈夫です」「ちょっと難しい」「考えてみます」「結構です」みたいな感じで遠回しに伝えます。

「今度飲みに行きましょう」というのも社交辞令の可能性が高く、「じゃあ、いつにしますか?」とすぐに日程を聞いたら、“空気が読めないやつ”になってしまう(かもしれない)。中国やアメリカでは、はっきり「YES」「NO」の意思表示をしないと意志を持たない人間だと思われてしまうから、海外では通用しない美徳でもあります。

日本のあえてしない美徳は、優しさや粋であるのと同時に、非常に難解なルールだと思います。昭和の時代くらいまでは日本人って結構タフで、少々強いことを言われても気にしなかったイメージですが、今の若い人はすごく繊細になっていて、相手にちゃんと空気を読んでほしいと思っている。

だから今後はより一層、踏み込まないとか、余計なことを言わないとか、空気を読むための高度な能力が求められるようになっていくんじゃないかなと思います。

《むいむいの中国人的ヒント》
日本人の一歩引いた優しさは、外国人の目にはクールに映ってしまうことがある。

日本人はダメ出し前に褒めている

日本社会の根底にあるのは、ズバリ「相手のことを第一に考える」という姿勢にあると思います。

笑顔で話し合う人々
写真=iStock.com/pain au chocolat
筆者は“日本社会の根底には「相手のことを第一に考える」という姿勢がある”と感じているという(※写真はイメージです)

それを実感したのが、日本で通ったアナウンス学院の授業でのこと。先生から、お互いのトークにアドバイスをするよう言われたときに、日本人の同級生たちはまず相手を褒めてから「こうすればもっと良くなる」と改善点を伝えたのです。

私の中には、相手の改善点を伝える場面で最初に褒めるという発想が全くなかったので、とても驚きました。

中国人は、いいことも悪いこともはっきり伝えることが優しさであり、愛情だと考えているので遠慮はしません。アイドルのオーディション番組などでも、中国や韓国は「やる気あるの? これじゃやっていけないよ?」って辛らつなことをズバッと言います。

でも、日本の審査員は「足りないところもあるけど、成長も見られて嬉しい」とか、褒め言葉も入れることが多いですよね。悪いことを伝えるときも、決して鋭く指摘はしないし、相手を否定しないようにやんわり意見を伝え、その文脈の中で褒めることさえある。

おそらく日本の教育に、褒めて伸ばす文化が浸透していることも理由の一つだと思います。繊細な人が多く、厳しく批判すると傷ついてやる気をなくしてしまう人も少なくありません。アナウンス学校で先生からガチのダメ出しをされて、翌日から来なくなった日本人の同期もいました(ちなみに中国人は大抵メンタルが強いので、ちょっとやそっとのダメ出しでは落ち込んだりしません)。