実態さえつかめない運営会社
米国の補助金が打ち切られ、日本も撤退を終えてから1年半。計画は名目上は存続しているが、運営会社の実態さえつかめない。
KPRC2の調査報道記者、ジョエル・アイゼンバウム氏は、運営会社の本社所在地とされる住所に足を運んだ。だが、本社らしき建物は見当たらない。同社の広報担当者が示した別の住所を検索すると、投資会社の名前が出てきたという。ライス大学の交通政策研究員、エド・エメット氏は、「連邦の資金はもう入っていない。投資グループが一つ。それだけだ」と話す。
冒頭でも紹介したとおり、駅予定地のモールの解体について運営会社は声明で、「また一歩前進だ」と述べた。もっとも、この声明では、「ゴーサインが出れば」「承認されれば」とも条件が付いている。デューホン郡判事は、モール解体は「高速鉄道の第一歩」に見せかける演出にすぎないと、厳しい意見を示した。
構想17年、進むのはモールの解体だけ
それでも、実現をあきらめていない人はいる。「高速鉄道ができるかどうかは、今後18カ月で分かる」。そう語るのは、北中部テキサス自治体協議会でダラス一帯の交通計画に携わるマイケル・モリス交通部長だ。ただ、補助金を打ち切ったトランプ政権が方針を転換するかと問われると、モリス氏の答えは慎重だった。
アイゼンバウム記者は今年、ホワイトオーク・フォールズを再び訪ねた。2024年に不法占拠の問題を報じた場所だ。窓の割れていた家の多くは、運営会社の委託業者が改修し、貸家にしている。同氏は「街並みは変わった。だが、家を買い取る理由だった列車は、いまも造られていない」と語る。
テキサス州で、高速鉄道は走り出すのか。もし実現するならば、それはいつなのか。構想から17年、日本が約417億円を損失処理したこの計画で、現在のところ目に見えて進んでいるのは、線路の敷設ではなく、駅予定地のモールの解体だけだ。
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