日本の官民ファンドも完全に手を引いた

補助金の取り消しを、意外にも朗報と受け止めた者がいる。テキサスの投資家ジョン・クラインハインツ氏の名を冠した筆頭投資家、クラインハインツ・キャピタル・パートナーズだ。同社は声明で、こうコメントしている。「民間主導であるべきだという長官に同意する。誇りを持って前に進める」

ところが3日後、テキサス・セントラルと筆頭投資家の代理人として州議会の証言台に立ったジェント氏は、「テキサスの助けなしには実現しない」と認めることになる。補助金を取り消したばかりの連邦政府の支援も、地元自治体の支援も欠かせないという。米CBS系列テレビ局のKBTXによると、同氏は、必要な承認がすべて年内に下りたとしても、建設には80〜86カ月(7年前後)かかると証言した。

4月23日、今度は日本のJOINが、計画からの撤退手続きを終えた。テキサス・セントラルに対する出資持分を同社の出資者に売却することに、日本の国土交通相の認可が下りたためだ。JOINは前年11月、引き受けていた同社の社債が返済期限の22年1月に償還されなかったことから、すでに支援決定を撤回していた。投じた約417億円も、2023年度決算で全額を損失として計上済みだった。

ヒューストンの夕暮れ時のスカイライン
写真=iStock.com/Dee Liu
テキサス州ヒューストンの街並み

「資金を出すと名乗り出た者は誰もいない」

日米の支えを相次いで失ったこの計画を、地元テキサスの人々はどう受け止めているのか。反応は、都市と沿線の農村とで大きく割れている。

テキサス州地方紙のダラス・モーニング・ニュースは、実現を待ち望むとの立場だ。補助金の取り消しから2カ月後、同紙は社説で、テキサス州、ひいては全米でも有数の二つの経済拠点を結ぶ高速鉄道に、連邦政府が一切関わりたがらないのは「悲しい」と嘆いた。

同紙によると、ダラス市が委託した経済効果の調査では、ダラス―ヒューストン線だけで2029年から2050年にかけて、地域の国内総生産(GDP)を年平均50億ドル(約7900億円)押し上げ、2万8000人超の雇用を生むという。

それでも社説は、残された道は民間主導の資金調達しかなく、それが成り立つかは「はっきりしない」と認める。当面は高速鉄道を抜きにして、ダラス中心部の再開発やコンベンションセンター(大型会議場)の計画を進めるべきだとまで書いている。

一方、線路が通る予定の農村部は、一貫して計画に抵抗してきた。反対団体「高速鉄道に反対するテキサス人」の代表でもあるワラー郡のトップ、トレイ・デューホン郡判事は、補助金が撤回される前の2025年3月、地元テレビ局KBTXに対し、「これは400億〜500億ドル(約6兆3200億〜7兆9000億円)の事業なのに、資金を出すと名乗り出た者は誰もいない」と指摘していた。