幹部ポストは「警察庁の指定席」か

こうした構造を象徴するのが、内調の人事慣行である。内閣情報官のポストは、長年にわたり警察庁出身者が就く事実上の指定席となっている。ナンバー2の次長も外務省の指定席で、その他の幹部も各省庁の出向者が配置されてきた。

もちろん、省庁間のバランスを取るという合理性はある。

しかし一方で、数年ごとに人事ローテーションで入れ替わる幹部が多く、情報機関としての専門性や組織文化を継承しにくいという問題も指摘されてきた。

海外では、情報分析や工作の経験を長年積み重ねた職員が幹部へ昇進する組織もあり、この違いを課題視する声は少なくない。

そしてその下では、生え抜きの職員たちが長年にわたり情報収集や分析の実務を担っている。彼らからすれば、幹部ポストが各省庁の持ち回り人事のようにも見えるだろう。

近年は与党内からも、幹部人事を特定省庁の指定席にせず、能力本位で行なうべきだという提言が出されている。

情報機関に求められるのは、省庁の論理ではなく国益である。その実現こそが、日本のインテリジェンス改革の試金石となるだろう。

国会議事堂
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「9.11改革」の失敗に学ぶ

人は問題が起きると、つい「新しい組織を作れば解決する」「法律を整備すれば解決する」と考えたくなる。

これはインテリジェンスの世界も例外ではない。日本でも長年、「対外情報機関の新設」や「スパイ防止法の制定」が繰り返し議論されてきた。

しかし、世界の歴史を見る限り、組織の看板や法律を変えただけで、情報戦に強くなれるわけではないことがわかる。むしろ問題の本質は、情報を共有しない組織文化や、分析を活かせない意思決定の側にある。

そして、そのもっとも有名な反面教師として挙げられるのが、2001年のアメリカ同時多発テロ(9.11)である。