薬物療法を行えば外泊時も安心できる

生活習慣を改善しても夜尿が続く場合、子ども(6歳以上)では薬物療法を検討します。大人の場合も、原因や症状に応じて使うことがあります。

私たちの体には「抗利尿ホルモン(バゾプレシン)」という、腎臓に働きかけて尿を濃くし、尿量を減らすホルモンがあります。夜尿症の治療には、このホルモンに似た構造を持ち、同じように働く「デスモプレシン」という薬がよく使われます。この薬は、特に夜間に作られる尿量が多いタイプの夜尿症に効果的です。ただし、服用前後に水分を摂りすぎると水中毒を起こすおそれがあるため、医師から指示された水分制限を守ることが大切です。

このデスモプレシンは、以前は点鼻薬も使われていましたが、現在は水なしで飲める口腔内崩壊錠(OD錠)が主に使われています。デスモプレシンだけで改善しない場合は、膀胱の過剰な収縮を抑える「抗コリン薬」、夜間の尿量を減らす作用があると考えられる「三環系抗うつ薬」を(うつ病ではなくても)使うことがあります。

薬物療法のメリットは、手軽で効果が早いところ。例えば、私のクリニックに来たお子さんは、学校の宿泊学習の際に飲むことで、安心して眠れたそうです。

夜尿症治療にとても効果的な最新器機

もう一つ、意外と効果的なのが「アラーム療法」です。

アラーム療法というのは、尿が出るとセンサーが反応して、音や光やバイブレーションで起こしてくれる器機を使う治療法。アラームは服につけたり、枕元に置いたり、腕につけたりと、いろいろなタイプがあります。尿をすべて出しきってしまう前に起きてトイレに行くことを何度も繰り返し行うと、夜間に尿を貯めることができるようになり、朝までおねしょをせずに眠れるようになる可能性が高いのです。

以前はオムツのようなパッドとアラームが有線でつながっていて寝返りしづらく、音や振動は伝わるものの家族だけが目覚め、おねしょをする本人はグッスリ……ということが多かったのですが、最近は無線式の使いやすい商品がたくさん市販されています。例えば「ユリンスコーププラス」「ピスコール」などは小型のセンサーを専用パットに付けるだけと手軽で、スマートフォンアプリで記録することも可能です。なお、アラーム機器は、買う以外にもレンタルする方法もあります。

夜尿症アラームトレーニング機器「ユリンスコーププラス」
写真=Sanwa Corporation
夜尿症アラームトレーニング機器「ユリンスコーププラス」

アラーム療法は、日本夜尿症・尿失禁学会の「夜尿診療ガイドライン」でも推奨されている治療法の一つ。薬物療法が可能になる6歳未満の子どもでも、本人が治療に意欲を持ち、家族も協力できる場合に選択されます。薬物治療との併用も可能です。