性犯罪につながりうる性的関心の偏り
性犯罪者は、しばしば逸脱した性的関心をもつとされています。
米国精神医学会による精神疾患の診断統計マニュアルDSM-5には「パラフィリア症群」という診断カテゴリーがあり、その中には窃視障害、露出障害、窃触障害、性的マゾヒズム障害、性的サディズム障害、小児性愛障害、フェティシズム障害、異性装障害などが含まれています。これらはいずれも、強烈かつ持続的で、特定の対象や行為に偏った性的関心を特徴としています。
そして、その一部は自己満足を目的としながらも、他者に危害を加える可能性があるため、刑事事件へと発展することがあります。女性に対する強制的な性行為や、小児性愛障害に基づく性的加害行為などは、その代表的な例と言えるでしょう。
性犯罪リスクとされる逸脱ファンタジー
では、なぜパラフィリアのような逸脱した強烈な性的関心が生じるのでしょうか。
その要因の一つとして、ファンタジー(空想)が重要な役割を果たしているとする説があります。海外の調査では、性犯罪者の58%が18歳以前に性的に逸脱したファンタジーによって興奮を覚え、それが後に性的逸脱行為へと発展した経験があることや、児童への性的虐待を行った男性の41%が20歳までに性的に逸脱したファンタジーを抱いていたことなどが報告されています(*1)。
このような逸脱したファンタジーは、性犯罪につながるリスク要因の一つであると考えられています。
ITSO(性犯罪統合理論、Integrated Theory of Sexual Offending)によれば、ファンタジーは「感情や動機づけ」「知覚と記憶」「行動の選択と制御」の3つの要素が相互作用することによって生じるとされています。
例えば、虐待被害などによって愛着上の問題を抱え、感情を適切に管理することが難しい状況にあると、歪んだ情報がネガティブな記憶として蓄積され、それがファンタジーや認知の歪みにつながると考えられています。
*1 Abel, G. G., et al.(1987)“Self-Reported Sex Crimes of Nonincarcerated Paraphiliacs.” Journal of Interpersonal Violence, 2(1), 3–25.
Marshall, W. L., Barbaree, H. E., & Eccles, A.(1991)“Early Onset and Deviant Sexuality in Child Molesters.” Journal of Interpersonal Violence, 6(3), 323–335.

