老人ホーム=家政婦さんがいる場所?

もし皆さんに1年間の休みがあった場合、費用はともかく、高級ホテルに泊まりたいですか? それとも、日本旅館に泊まりたいですか? それともビジネスホテルが良いですか? それと同じです。ちなみに、私は長期間のステイであれば、気楽なビジネスホテルを選びます。

皆さんは老人ホームをどのような場所だと考えているでしょうか。もし「自己負担1割で家政婦やお手伝いさんを雇える仕組み」のようなものだと想像している方がいたら、それは大きな間違いです。このような認識で老人ホームを利用すると、どれだけ素晴らしい老人ホームに入居したとしても、結果として、不満や後悔しか生まれません。

そもそも国が、多額の公費を投入して、格安の家事代行サービスを提供する制度をつくるはずがありません。老人ホームに入居したら、後はすべて施設が面倒を見てくれると思い込み、自分の期待通りの対応でない場合、「サービスが悪い」「気が利かない」などと不満を口にする人がいます。

介護職員は何でも頼める存在ではない

私は、入るべき老人ホーム、入ってはいけない老人ホームを論じる前に、老人ホームを利用する側にも心得ておくべきことがあると考えています。

なぜ利用者側にこのような誤解が生まれるのかというと、介護保険制度の本来の目的や存在価値が十分に利用者側に伝わっていないからです。多くの人は、介護が必要になったタイミングで、制度を利用できることを知っています。

しかし、その制度自体の本当の目的には興味がありません。その結果、「困ったことは何でも介護保険で解決できる」「介護職員は、いつでも無条件で助けてくれる。何を頼んでも構わない」などという都合のいい解釈に陥りがちです。

さらに、介護保険事業者の増加による無策な過当競争も誤解を助長しています。事業者は利用者獲得を優先するあまり、まるで介護保険サービスを使わなければ損であるかのような説明をしています。つまり、供給側である事業者が、売上確保のために「利用者という需要」をつくり出し続けているのです。こんな調子では、いくら税金を投入したとしても追いつくはずがありません。

電卓と医療機関のミニチュア
写真=iStock.com/yattaa
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