基本的に「安かろう、悪かろう」だが…

お金に細かい家族の場合、こうした問題で老人ホームと揉めることになります。おむつの汚染に対し、交換する、交換しないの基準は、人それぞれです。

どちらが良いかということではありません。ちなみに、おむつを無償で支給している自治体もあります。前もって自治体に確認することをお勧めします。

費用だけで老人ホームを決めてしまうことが危険である2つ目の理由は、基本的に老人ホームの質は「安かろう、悪かろう」だからです。「介護の沙汰さたは金次第」。これは、私が昔から訴えているキーワードです。しかしここで注意が必要なのは、入居者によって良いと感じるサービスは異なるという点です。

きめ細やかな手厚いサービスを良しとする場合は、間違いなく高級老人ホームを選ばなければなりません。その時、特に注目するべき点は、職員の人員配置割合です。通常は、3:1ですが、高級老人ホームになると、2:1、1.5:1などのようになります。配置されている職員数が多くなるため、その分、上乗せの支援も可能になるということです。

車椅子に乗る年配の女性と介護士
写真=iStock.com/itakayuki
※写真はイメージです

高級老人ホームでストレスが増える理由

しかし、中には「一人でいたい」「人と話をするのが面倒」という入居者もいます。そのような入居者の場合、高級老人ホームに入居すると、煩わしいだけになります。

その昔、私が介護職員だったころ、某有名企業の創業者が高級老人ホームに入居していました。当該ホームには、子どもたちの一存で、自分の父親が入居する老人ホームは、このレベルでなければならないという理由で入居を決めました。しかし、入居後わずか数カ月で退去していきました。

理由は、まさに「煩わしさ」。

特段用もないのに、日に何度も職員が部屋に来て、「暑くないですか」「おなかは減っていないですか」「水分補給をしてください」などと声をかけてくる。そのうち、用事がある時はこちらからナースコールを押すので、来なくて結構だと言うと、すぐにホーム長が飛んできて何か粗相があったのかとなる始末。

結局、この方は、安いサ高住(※サービス付き高齢者向け住宅)に住み替えました。安いサ高住は人手が足りないため、入居者はほぼ放置されます。職員の目を盗み、居室で禁止されているタバコを吸って、それがばれて職員に烈火のごとく怒られたり、まるで中学生のような日常生活でしたが、実はまんざらでもなかったようで、職員からは「会長」「会長」と呼ばれ、自由な生活を楽しんでいました。

料金の高い老人ホームは、一般的には総じて「良いホーム」です。しかし、入居者によっては、その良さはかえって息苦しく、苦痛になる場合もあることを覚えておいて欲しいと思います。