現金給付、児童手当をNISAに充てる案
こどもNISAの開始によって、日本では生涯にわたって非課税の少額投資が可能になる。海外の事例を参考にしつつ、NISA制度を拡充し少子高齢化による社会保障制度の不安解消につなげることを考えるべきだ。
一つの考え方として、政府が検討している給付を、NISAと結合することが挙げられる。2027年4月から食料品の消費税率を8%から1%に引き下げ、2年後の2029年4月に再び8%へ戻すのに合わせ、政府は中低所得者に現金給付を先行支給する計画だ。この給付の一部を、対象者のNISA口座に振り込む案について検討する意義は高いだろう。
その際、債券と株式を組み合わせて、少しリスクを抑えた低コスト型のファンドを自動的に買い付ける仕組みを整備しておくのも有効ではないか。個人の投資家があれこれと悩み、結果的に何もせずに現金を滞留させることを回避できる。これは、あらかじめ選択するメニューを決めておく「自動加入(デフォルト)」の考えかたの応用だ。
実験でわかった「自動加入」の効果
そのほかにも、日本にはさまざまな給付措置がある。市区町村が実施している子ども手当(児童手当)を、全額こどもNISA口座に振り込むのも一考に値する。こうした取り組みは家計の資金運用のみならず、親、こども双方の心理にポジティブな影響をもたらす可能性が報告されている。
参考になる研究の一つに、米オクラホマ州がワシントン大学セントルイス校などと共同で行った実験がある。このケースでは、2007年に生まれた子どもの家庭から無作為に実験対象を選んだ。
同年12月と2008年5月に、約1360家庭の子どもに1000ドルを教育資金の積み立て口座に入金し、自動加入で資金を運用した。ほぼ同数の家庭には、対照群として入金せずに追跡した。その結果、自動加入の対象となった世帯の経済格差は縮小し、親の教育重視姿勢も高まったことが報告された。
格差拡大リスクを抑えるためにも、政府が支援の一部をNISA口座への拠出に充てることは、それなりの検討の意義がありそうだ。こどもNISAは子どもの教育資金の運用だけでなく、早期の年金運用につなげることも可能な仕組みだ。制度がうまく機能すれば、社会保障制度の持続性が高まり、国民生活の安心、安定感の向上につながる可能性は高い。
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