発車して1時間足らずで最後尾が脱線

改修のままならない路線は今、やっとのことで稼働している。

ザンビア北部、国境の町ナコンデが夕闇に沈む頃。荒れた駅の待合室では、若い母親のアグネスさんが赤ん坊を背負い、幼い子をひざに乗せて待っていた。列車の遅れには慣れている。アルジャジーラが取材した、ある日の光景だ。

列車がようやくナコンデを発車すると、見渡せば車内の座席は破れ、塗装ははげている。

タンザニア南部の高原では、短い区間に18本のトンネルが連なる。1970年代初め、中国人とタンザニア人の作業員が、つるはしと発破を使い、1年近くかけて掘り抜いたものだ。

それから半世紀余りたち、鉄道はすっかり老朽化した。現代を生きるアグネスさんにとって、路線が中国との友情の架け橋だったことは、ほとんど馴染みのない話だ。

ナコンデを出た列車は、1時間も行かないうちに急停車した。最後尾の車両が脱線したのだ。ポーターと呼ばれる荷物係らは袋を担いで通路や草むらを行き来し、荷物をほかの車両へ積み替えていく。

タンザニアのニエレレ国立公園を通過するTAZARAの車列
タンザニアのニエレレ国立公園を通過するTAZARAの車列(写真=Digr/CC-BY-SA-3.0/Wikimedia Commons)

給与遅配の末、ついに列車が止まった

列車で働くポーターのデビッド・テンボ氏は、アルジャジーラの取材に対し、「給料が期日どおりに出なくなって4カ月です。でも、ほかにどんな仕事があるっていうのでしょう?」とこぼす。運営権が中国企業に移れば、せめて給料だけは遅れずに払われるのではないかと期待し、「働く者にとって、ボスが誰かは関係ない」と割り切る。

列車が終点に近づくと、銅の産地セレンジェの町外れに、中国系企業の精錬所が並んでいた。終点のカピリムポシでは、旅客列車を圧倒するように、くすんだ色の巨大な貨車の列が何本も並ぶ。アルジャジーラによると、中国にとって、この鉄道の旅客輸送は二の次とみられる。貨車で運ぶ銅があるからこそ、投資に見合うのだという。

ポーターのテンボ氏が嘆いた給与の遅配が原因で、2025年春にはとうとう列車の運行が止まった。手詰まりとなった両政府は、その年のうちに鉄道の運営を中国企業に委ねることになる。