「病院に行けば安心」という思考停止
もちろんそうは言えないから、点滴のルートを取り、酸素マスクや、場合によっては人工呼吸器を装着するなどして、治療をはじめる。
治療のために検査が必要だから、血液検査をして、X線検査をして、場合によっては超音波診断やCTスキャンもして、その度に針を刺したり、管を入れたり、冷たい台の上に乗せたりして、患者に苦痛を与える。
いくら高齢でも、家で倒れていたり、肺炎で呼吸が荒くなっていたりすれば、救急車を呼びたくなる家族の気持ちはわかる。しかし、救急車を呼べばどうなるかまで考えている人は少ないだろう。病院に行けば安心、専門家に任せれば大丈夫というような、思考停止に陥っている人が多いのではないか。
病院は必ずしも安全ではないし、医者も万能ではない。しかし、医療者はそれを声を大にして言わない、あるいは言えない。迂闊に言うと、自己否定にもつながり、世間の批判を浴びるからだ。
救急車を呼ばずに、高齢者を家で死なせるのは、かなり勇気がいることだろう。そのためには、救急車を呼んで病院に運ぶとどんなことをされるのか、それはどれくらい効果があるのか、どんな弊害があるのかを、あらかじめ知っておくことが大事になる。
病院に運べば何とかなる、きっと助かる等、丸投げの希望的観測に陥っていると、後悔することになる。
そんなとき、頼りになるのは、在宅医療の医者やかかりつけ医だろう。ふだんからどう最期を迎えるかを、勇気を持って専門家と話し合っておくことが重要だ。
検索時にプレジデントオンラインに関連する記事が表示されます


