暴かれた「神話」のウラ側
現在のUSJから聞こえてくる声はこれとは違う向きがあるが(実際に12人退職後もUSJはコロナ期を除くと上昇傾向を継続)、森岡氏の激情型の筆致がその神話をどんどん補強していく。発言が“神話”となって多くの案件も舞い込む。2018~2022年の期間、刀はジャングリア計画と並行して、さまざまな企業のマーケティング支援を行ってきた。
リゾート再建のネスタリゾート神戸や西武園ゆうえんち、ハウステンボス、丸亀製麺、ニップン、高血圧診断のイーメディカル、アウトドア体験のネイチャーライブ六甲、イマーシブ・フォート東京……。
これらは2024年に刊行された書籍『森岡毅 必勝の法則』では“成功例の数々”として紹介されている。
しかし2025年にこうした報道は一変する。これまで森岡氏の取り組みを喧伝してきたNews Picksが、2025年6月、森岡氏がファミリー企業へ「マーケティングメソッド利用料」として不透明な支払いをしていた疑惑を報じた。
同時期に、丸亀製麺との契約解除、その際に発生した約10億円の違約金という報道もあった。さらに、2021年に約100億円を投じてリニューアルした西武園ゆうえんちに関し、23年3月期、24年3月期で計73億円の減損損失を計上していたことが発覚した。このような“醜聞”は2025年夏になってから目立つようになった。
盛りすぎたジャングリアの成功確率
25年7月に、満を持してスタートしたジャングリアだが、出足の不調ぶり、猛暑のなかでの混雑対応のまずさやユーザーの不満などが各メディアで取り上げられた。
26年2月には東京イマーシブ・フォートが2年で撤退することが決定すると、シュプレヒコールはさらに高まり、26年春には「マーケターの大量退社」など組織崩壊を報じるニュースも散見されるように。
15年かけて持ち上げられ続けたマーケティングの神様が、たった1年の間に「神話崩壊」とばかりに、叩きに叩かれまくる状況に陥っている。
だが待ってほしい。この神話は誰が作りあげたものだろうか。
確かに森岡氏にも非はあるだろう。「ジャングリアの成功確率は73%」と発言した時に、森岡氏の自己演出が極まりすぎているように感じた。USJやハウステンボスなどすでに立地条件やリピーター率などKPIがとれる運営中の案件では、予測率を高く見積もることは理解できる。
「USJの需要予測の精度は97%」と米国本国すらも驚かせた話も嘘ではなかろう。実際にUSJ式の需要予測は導入した協業先でも高く評価されている。
だが「新規IPで新規の場所で出来上がるパークの成功率予測」というのは明らかに行き過ぎであった。


