現場の“立憲観”は一様ではない

そもそも、創価学会員は中道改革連合に対して、どのような印象を持っているのか。

立憲と公明党の関係性を象徴する出来事として、2017年の衆議院選挙において、当時、公明党代表であった山口那津男氏が兵庫県神戸市で行った街頭演説がよく知られている。山口氏は『鉄人28号』の主題歌の替え歌を披露し、そのなかで「たたきつぶせ立民共産」と歌ったことがある。このことからも、必ずしも公明と立憲との距離は近いとはいえない。ただ、今回取材した会員の受け止めは一様ではなかった。

今回取材した50代以上の会員のなかには、立憲出身議員に好意的な人が多かった。とりわけ、中道の代表を務めてきた小川淳也氏に親しみを感じ、これまで公明党議員に求めてきた「クリーンさ」を見出していたという。

一方、今回取材した30代以下の男性信者(創価学会内では「男子部」と呼ばれている)のなかには、立憲への強い抵抗感を抱く人もいた。若いころに見聞きした民主党政権に否定的な印象を持ち、そのイメージを立憲にも重ねているという。

民主党やその流れをくむ立憲は、選挙や国会で自公政権と対立する側にいた。公明党を支援してきた学会員にとっては、長年、対立相手として意識してきた政党でもある。民主党政権への印象に、こうした対立関係の記憶が重なったことも、立憲への抵抗感につながっているのではないかと筆者は考えている。

加えて、YouTubeやTikTokなどで立憲批判のショート動画に触れ、小川氏の話し方を揶揄する「オガジュン構文」を話題にする若い男子部員もいた。

期待した学会員は、立憲出身者の落選に傷ついた

中道に期待を寄せていた会員は、分裂をどう受け止めているのか。都内在住の60代女性は、こう嘆く。

「小川さんのことが本当に好きになったし、立憲にも素敵な議員がたくさんいると分かって、これから一緒にやっていけるのが楽しみだったんです。参院と合流できないのは政策の問題があるからしょうがないけど、どうして衆院まで一緒にやっていけないのか。本当に残念です」

立憲出身の候補者に期待していたのは、中高年の会員だけではない。2月の解散総選挙で中道候補を支援した都内在住の30代男性は、当時の様子をこう振り返る。

「立憲出身の若い男性候補が、真剣に選挙を戦っているのが伝わってきました。今回は、学会側から選挙ボランティアの連絡がなかったため、自分たちでボランティアの窓口を探したり、街頭演説の応援に行ったりしました。立憲出身候補は学会員の支援に対して心から感謝してくれるように見えたんです。だからこそ、落選したときは本当にショックでした。ある意味で、身内である公明党の候補を応援するときよりもショックが大きかったです。私の周囲には、泣いて悔しがった中高年女性の学会員さんもいました」

2026年2月7日、江東区で酒井なつみ候補(東京15区)の応援のため街頭演説を行った野田佳彦氏、斉藤鉄夫氏と公明党代表の竹谷とし子氏
2026年2月7日、江東区で酒井なつみ候補(東京15区)の応援のため街頭演説を行った野田佳彦氏、斉藤鉄夫氏と公明党代表の竹谷とし子氏(写真=Makochan12.9/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

同じ30代男性でも、冒頭の男性と、この男性とでは、中道への思いが異なる。年齢だけでなく、それまでの政党への印象や、候補者を支援した経験にも目を向ける必要がある。合流には抵抗があった人と、候補者への期待を深めた人。それぞれ異なる思いを抱えながら、今回の分裂を受け止めていた。