情シスとユーザーには「圧倒的な知識差」がある

情シスからすればユーザーに依頼することには、ちゃんとした理由と背景があるが、それがきちんと詳細に説明されることはあまりない。

それは、情シスとユーザーには圧倒的な知識差があるからだ。

たとえばセキュリティのための生体認証を導入すれば、ID/PWによる認証やトークンを使った認証を使っているときよりも、圧倒的にセキュリティレベルは上がる。

しかし、その理由を詳細に説明しても理解できるユーザーはあまりいない。

そして、説明すれば問い合わせが来て、それが業務負荷につながるから、情シスとしてはちゃんと説明することが自分の仕事を増やすことになる。

一方、ユーザー個人としてはそんな細かい話は気にしていないことがほとんどだし、セキュリティなどのシステムに関する知識を勉強することは、自分の仕事や評価には関係ないから、勉強しようとは思わない。

しかし、世の中の技術はどんどん進歩していくから、情シスは必要だから新しい知識やスキルを身につける。ユーザーは身につけない。しかも情シスはユーザーに説明しないから、知識差はますます広がっていく、というのが実態だ。

会議でパソコンを使用する人たち
写真=iStock.com/bee32
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「ソフトを入れるだけ」の見えないコスト

またユーザーはセキュリティや保守など気にしないから、あれが欲しいこれが欲しいという要望だけを情シスに上げる。しかし情シスとしては、そうした要望に応えるためにはコストがかかるし、セキュリティの問題もあるのですべての要望に応えることはできない。

ユーザー個人から見れば、「ソフトを入れるだけじゃん」と思っても、情シスから見れば、そのソフトのセキュリティパッチの管理など入れるだけではないコストがかかる。そうしたコストはユーザーからは見えない。

そして、ユーザーの不満はたまっていくが、情シスはそうした状況を説明しても理解してもらえるとは思っていないから説明しない、というのが現状だ。

また、情シスは、経営からは常にコスト削減を要求されている。

しかし、物価上昇に伴って賃金は上昇していくから、人が多く関与しているシステムでコストを削減することは非常に難易度が高い。

そうなるとクラウトサービスの利用やパッケージソフト導入によってコストを下げようという話が出てくる。

この時、見えるコストと見えないコストがあり、見えないコストによる投資はカットされやすく、結果として全体のコストが下がっていない、上がってしまったということもある。