台湾海峡有事の収拾は非常に困難
なお、台湾海峡有事のシナリオを考えると、戦争終結はさらに難しいと考えられる。まず、戦争目的の設定が極めて困難である。中国の統治体制そのものの転換は現実的な戦争目的になりえない一方で、1991年湾岸戦争のように単に「原状回復」を目標にするだけでは、台湾側の甚大な被害や米国などの人的・物的損害を考えると、関係国の世論が納得しない可能性がある。
だとすると、戦争目的は「中国の体制転換」と「単純な原状回復」の中間に設定される可能性があるが、そこには、台湾の戦後の政治的な地位をどうするのか、言葉を換えれば「一つの中国」政策をどうするかという重大な問題がある。中国はこの点を譲ることができないだろうし、米国もまた、多大な死傷者を出した後では現在とは態度が変わるかもしれない。
いずれにしても、戦争が始まった後でも、この点について米中が共通理解に至らなければ、戦争を終結させることはできないし、場合によっては非常に高いレベルへの戦争のエスカレーションが起こるリスクもあることは銘記しておく必要がある。
こうして考えると、やはり戦争は防がなければならない。始まった戦争を終わらせることよりも、始まっていない戦争を抑止することの方がおそらくまだ難易度が低いであろうからである。
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