現在は採用に苦労していない理由

そんな名友産商が外国人の採用を始めたのは20年ほど前。丸八テント商会と同じく日本人の若者、とりわけ理系人材が採用できず、外国人に目を向けた。当初は技能実習生を採用していたが、現在は日本の大学で学んでいる留学生やアジアの工科大学を出た学生を採用している。

「正直、今は採用に苦労していませんが、外国人の採用に取り組んでいなければ、他の企業のように大変な状況になっていたと思います」(名友産商の南竜市代表取締役)。最近は工場のカイゼン活動や経営計画の進捗管理など、現場のマネジメントを担当する外国人社員も出ており、事業を続ける上で不可欠な存在になっている。

絶望的な人手不足を前に、外国人の採用に活路を見出す企業は数多い。言葉を換えれば、外国人の採用を積極的に進め、将来の主力として育てていかなければ、中長期的に事業を続けるのはもはや不可能だということだ。これは、飲食業や介護関連などのサービス業でも変わらない。

愛知はトヨタグループや三菱重工業など日本を代表する製造業が集まっているが、そうした企業を支える中小企業が崩壊すれば、ものづくり県としての競争力も減衰してしまう。そうなれば、日本の産業競争力や安全保障の基盤が揺らぐ。そのため、愛知県も中小企業が外国人を採用できるよう、さまざまな支援メニューを取りそろえている。

愛知県豊田市のトヨタ本社
写真=iStock.com/wellesenterprises
愛知県豊田市のトヨタ本社

企業と外国人、双方の相談窓口

例えば、2025年4月に開設したあいち外国人材受入サポートセンター。これは、外国人を採用したい県内企業とそうした企業に就職したい外国人の双方のための相談窓口だ。企業向けとしては、求人・選考採用や雇用・労務管理、外国人材の在留資格、育成や定着についてなど、外国人の受け入れに慣れていない企業の相談に乗る相談業務がある。

また、採用準備から雇用準備、定着支援など、企業の受け入れ段階に応じた4テーマの企業向けセミナーも開催している。2025年に開催されたセミナーは6回。毎回100人ほどの企業関係者が参加したという。