ターゲットの外国人富裕層は来なかった

2026年2月28日に中東で戦争が始まり、国際的な観光客の流れは激減した。セマフォーは、開戦から数週間でドバイのホテルの稼働率が16%まで落ち込んだと報じている。

ところが同じころ、紅海沿岸のリゾートはにぎわっていた。ホテリア・ミドルイーストによると、イスラム教の断食月ラマダン最後の10日間の最高級リゾートの稼働率は82%に達し、サウジアラビア有数の観光地アルウラの第1四半期の稼働率77%を上回った。

ただし、客室を占めたのは、ラマダンや断食明けの祝祭イード、学校の休暇に合わせて国内を旅行するサウジアラビア人であり、リゾートが本来狙っていた外国人富裕層ではなかった。

AGBIは、サウジアラビア全土のホテルの平均客室単価が2026年第1四半期に前年比で11%下がり、稼働率は61%だったと伝える。サウジ政府と協働する観光コンサルタントのオリビエ・トーマス氏は、「海外から来る人は減ったが、国内旅行は増えていく傾向にあるようだ」と述べる。

一方で、海外からの観光客が減ったことで、レジャー中心の観光地のホテルはさらに大幅な値下げに踏み切ったと指摘する。「市場にとってより魅力的にならなければならない。そうやって生き残るのだ」。

1泊31万円から6万円台への転換

こうした中、RSGのジョン・パガーノ最高経営責任者(CEO)は価格戦略の転換を認めた。

ロイター通信によれば、1泊およそ2000ドルという当初の超高級路線には高すぎるとの批判が相次ぎ、同社は現在、1泊400~500ドル(約6万1600〜7万7000円)程度のリゾートホテルを拡充している。パガーノ氏は同じ取材で、開業済みのリゾートは6月時点で14施設、8月末に25施設、年末には27施設になると述べた。

それでも、他のサウジのギガプロジェクトが縮小・中止されるなか、RSGは「ビジョン2030」で最も実現が進んだ事業の一つだと、AGBIは評している。

ロイター通信によれば、巨大開発構想「NEOM」の一環として建設されながら一般公開に至らないシンダラ島の再生も任されることになった。シンダラは富豪が所有するスーパーヨットで乗り付け、ゴルフやホテル滞在などを楽しむコンセプトだ。

シンダラのコンセプト画像
出所=サウジアラビア「ビジョン2030」公式ホームページより
シンダラのコンセプト画像

着工前の評価が不十分であり、島を頻繁に襲う強風の影響が織り込まれなかった。納期も非現実的だったとされ、2024年秋の派手な島開きパーティーは仕上げの粗さが目立った。NEOMのナドミ・アルナスル最高経営責任者(CEO)は、その数週間後に解任されている。

パガーノ氏が強みに挙げるのは、外部委託に頼らず社内に専門性を蓄えたことだ。昨年にはサウジ国籍を付与され、その手腕が評価されている。