年間100万人を迎え入れるはずが…
砂漠を貫く、一本の滑走路。
レッドシー国際空港に一番機が降り立ったのは、ホテルのオープン2カ月前、2023年9月のことだった。ナショナル紙によれば、リゾートの玄関口として建設されたこの空港と首都リヤドは、開業当初、木曜と土曜の週2便が2時間足らずで結ばれていた。
空港周辺、紅海沿岸のアル・ワジとウムルジという二つの町に挟まれた海域には、90を超える島が点在する。その大半は手つかずのままだ。
2017年、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、この一帯全域を観光地とする紅海プロジェクトを打ち出した。石油収入に頼る経済からの脱却を掲げる国家計画「ビジョン2030」の旗艦事業の一角を担う。
対象区域は2万8000平方キロメートル、四国の約1.5倍にあたる。ただし開発されるのは22島にとどまる。生態系を守ると同時に希少性を演出するためだと、欧州ニュース専門局のユーロニュースは説明する。
計画の柱は、紅海プロジェクトの下で建設される50施設と、ウェルネスを掲げる姉妹プロジェクト「アマラ」の30施設。いずれも高級リゾートとして2030年までに開業する計画だとAFPは伝えていた。
モルディブと競える目的地をつくり、年間100万人を迎え入れる。AGBIによれば、紅海プロジェクトが完成すればGDPを毎年59億ドル(約9090億円)押し上げるとされる。
実際に来た観光客は5万人強
レッドシー国際空港の発着案内板には、リヤドのほか、メッカ巡礼の玄関口であるジェッダに加え、国境を越えたドバイ、ドーハ、ミラノの名が並ぶ。ユーロニュースによれば、2026年上期の旅客数は7万8000人を超えた。
ただし、海外の富裕層を紅海沿岸へ直接運ぶために建設された同空港は、その役割をまだ果たせていない。旅客7万8000人に対し、発着はおよそ2000回。単純計算で1便あたり39人しか利用者がいない。しかも、7万8000人のうち、国際線の利用者は約1万1000人にとどまる。
中東ホテル専門誌のホテリア・ミドルイーストは、「ビジョン2030」年次報告書をもとに、2025年に紅海プロジェクトを訪れた観光客は5万人強だとしている。2030年の数値目標である年間100万人の20分の1にすぎない。
リゾートがほぼ空室のままである理由について、AFPの取材に応じたコンサルタントは、アルコールが提供されない点も一因だと述べた。
だが、それは問題の本丸ではないとした上で、こうも続ける。「問題は価格の高さと、あまりに大きすぎるプロジェクト規模だ。この値段を払う気のある客がどれだけいるのか、彼らはひどく読み違えたのだ」

