1泊30万円以上するヴィラが“ほぼ空室”
紅海プロジェクトの下で建設された紅海・シェイバラ島の高級リゾート「シェバラ」のヴィラは、海上に建設された施設だ。澄んだブルーの海域に球状のヴィラが点在する様子は、近未来のリゾートを思わせる。
米独立系ニュースメディアのセマフォーによれば、こちらの施設も強気路線を踏襲しており、米・イスラエルとイランの戦争が始まるまでは宿泊料金が1泊2000ドル(約30万8000円)を超えていた。
やはりと言うべきか、客室には空室が目立つ。AFPによると、開発会社のレッドシー・グローバル(RSG)は、完成した10カ所の高級リゾートの稼働率を明らかにしていない。しかし、前出のコンサルタントは中東情勢が悪化する半月前の2026年2月の時点ですでに、「ほぼ空室のままだ」と評している。
紅海プロジェクトは沿岸や付近の島々を高級リゾート地に育て上げる構想で、中東湾岸ビジネス誌のAGBIは、総事業費を236億ドル(約3兆6300億円)と見積もっている。うち114億ドル(約1兆7500億円)の工事は発注済みだ。
世界最高峰の建築家を呼び集めた
入念にデザインされた高級リゾートの設計者の中に、日本人建築家の名前もある。ウマハット島に建つ「セント・レジス・レッドシー・リゾート」を設計したのは、隈研吾氏だ。
47棟のビーチヴィラと43棟の海上ヴィラからなり、いずれもプライベートプールとサンデッキを備える。建物の有機的な曲線は島の風景に溶け込むか、あるいは海面から優雅に螺旋を描いて立ち上がるようなシルエットに統一されている。
床のタイルはウミガメの甲羅を模しているなど、砂漠と好対照のオーシャンリゾートを演出する。2024年には雑誌『インテリア・デザイン』の「ベスト・オブ・ザ・イヤー」でカントリー・ゲッタウェイ部門(都会を離れた自然のなかの滞在施設を対象とする部門)に選ばれた。
サウジアラビアは、世界最高峰の建築家たちをこの沿岸に呼び集めた。冒頭で紹介したシックス・センシズ・サザン・デューンズを設計したのは、イギリスの建築事務所「フォスター・アンド・パートナーズ」。
建築雑誌『デジーン』によれば、海沿いの町ウムルジから北東へ約100キロ離れた遠隔の砂漠地帯に建つ。ナショナル紙によると、2023年11月の開業に続き、翌年1月には一帯で2軒目となる「セント・レジス」が誕生した。
もっとも、当初思い描かれていたのは、はるかににぎやかな光景だった。実際には、開業から3カ月後の時点でも、一帯で営業していたのはサザン・デューンズとセント・レジスの2軒だけだ。
AGBIによれば、第1期の16軒のホテルは2023年末までにすべて開業する計画だったが、同年11月時点で開業していたのはサザン・デューンズの1軒にとどまった。

