20万円台が適正価格ではないか
『iPhone Duo』の目標は、3年以内にiPhone全体で10%以上のシェアを獲得すること。現在の折りたたみスマホのシェアを考えるとかなり高いハードルだが、かつて一部ファンに熱望されたコンパクト路線の『iPhone 12 mini』がシェア5%程度と低迷した結果、シリーズごと消滅してしまったことを考えるとせめて2ケタは取っておきたい。
一方、スマホの低価格化は今、かなり難しい状況にある。メモリーなどの半導体価格がこれまで聞いたこともないような速度で値上がりしており、しかも2028年ごろまで解消される見込みがないと言われている。率直に言って、このままでは値下げどころか値上がりする可能性が高い。
しかし、低価格化なくして『iPhone Duo』の成功はあり得ない。アップルがこの逆境を乗り越え、『iPhone Duo』を普及させることができるのだろうか? 正直なところ、その不安は大きい。
新CEOジョン・ターナスはアップル生え抜き
なお、今回の発表は、51歳の若き新任CEOジョン・ターナスの初仕事となった。ターナスは、iPod発売直前の2001年にアップルに入社し、以降、長らくハードウェアエンジニアとして製品開発に従事。アップル40年の歴史において、入社以来アップル一筋という生え抜き(プロパー)社員がトップの座に就くのは初めてのことだ(創業者スティーブ・ジョブズすら、一度、社を離れてからCEOに就任している)。代々、経営の専門家たちに委ねられてきたアップルの舵取りがハードウェアエンジニアに託されることになった。
先代CEO、ティム・クックは財務とサプライチェーンの専門家としてアップルの事業を何倍にも拡大した(株価はなんと約28倍にも)。ジョブズ時代のアップルへの思い入れが強い人の中には「クック時代のアップル製品はつまらない」という人も少なくないが、クックがCEOに就任して以降の約15年でアップルが驚くほど“強靱な”企業に成長したのを否定することはできないはずだ。
ジョブズやクックを超えられるか?
元アップル日本法人代表の前刀禎明氏は、とあるインタビューでスティーブ・ジョブズを「イマジネーション(未来)重視のビジョン型」、ティム・クックを「リアリティー(現実)重視のオペレーション型」経営者だと評した。ジョン・ターナスがどのような経営者なのか、そのスタイルはまだ明らかになっていないが、その経歴からものづくりを大切にする経営者であることは間違いないだろう。実際、クック時代に立ち上がったプロジェクトではあるが、初の折りたたみ型『iPhone Duo』の完成度は驚くほど高く、感心させられた。
しかし、ここまで説明してきたように、今回の勝負は製品の善し悪しで決まりそうにない。どんなに良いものを作っても高すぎて売れない、そんな時代になってしまっているからだ。今後しばらくは、ノートPC『MacBook Neo』(11万9800円から)のような低価格プロダクトが市場の主役となっていくだろう。そんな身もふたもない状況下で、ターナスの「ものづくり力」を活かすことはできるのか? 『iPhone Duo』をヒットさせることができるのか? まさに「嵐の船出」となってしまったが、その旅路を見守りたい。
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