砂糖よりよく使われている甘味料

精製糖質の最たる例が、砂糖です。砂糖は、サトウキビやテンサイから、限りなく不純物が取り除かれ、真っ白に精製された糖質です。砂糖は、ブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)が1対1で結びついてできています。

加糖飲料や加工食品の甘味として、砂糖よりもよく使用されているのは、「果糖ブドウ糖液糖」です。トウモロコシに酵素や酸を加えて人工的に精製され、「異性化糖」とも呼ばれています。こちらは、果糖の割合が50%以上90%未満で、構成成分は砂糖と同じものです。

ブドウ糖は、すべての細胞のエネルギー源となり、使われなかったブドウ糖は、肝臓で中性脂肪に変換されます。果糖は、肝臓だけでしかエネルギーとして使われないため、容量オーバーとなったとき、肝細胞を傷害します。

それではブドウ糖、果糖による肝臓の脂肪化、肝障害のメカニズムをもう少し詳しく見ていきましょう。

ヒトの脂肪肝とフォアグラはそっくり

「フォアグラ」は、キャビア、トリュフと並ぶ世界三大珍味の1つで、フランスでは日常の食卓にあがる伝統的な食材です。フランス語で、フォア(foie)は肝臓、グラ(gras)は脂肪のことで、文字通り脂肪肝を意味します。

日本ではフレンチレストラン以外で目にすることはほとんどありませんよね。私は、肝臓移植外科医としてフランスに留学するまで、恥ずかしながらフォアグラを食べたことがありませんでした。

「フォアグラはどのようにしてできるのか」、このメカニズムがわかると、ヒトの脂肪肝発症のメカニズムの理解がより深まります。

フランスの伝統的なフォアグラのつくり方(現在は動物愛護の観点から家禽の生活環境が見直されていますが)は、まず、ガチョウを飼育小屋に入れ、消化がよいようにやわらかく蒸したトウモロコシを1日3回、専用の漏斗で強制的に胃に流し込みます。

エサは1回250gから始めて、最終的に500gまで徐々に増やしていきます。すると、わずか1カ月で肝臓は2kgに達し、脂肪肝=フォアグラとなります。

フォアグラ
写真=iStock.com/ Victority
※写真はイメージです

ヒトの肝臓の大きさは、正常肝では体重の約2%ですので、1.0〜2.0kg程度。体重70kgの方の肝臓は1.4kg程になりますが、脂肪肝になると2kg以上に達することがあります。

実際、私はフランスで脳死肝移植を行っていた際に、2kg以上に腫大したヒトの脂肪肝を摘出したことがあります。見た目も色もガチョウのフォアグラにあまりにも似ていることに驚きました。

健診などで脂肪肝を指摘される方は、自分がすでにフォアグラになっていると、自覚しなければなりません。腹部超音波やCTで診断できる脂肪肝の組織脂肪率(検出限界)は約30%といわれています。脂肪肝と診断される患者さまの多くは脂肪率40%を超えているのです。