脂肪肝になる最短の方法は「砂糖水」
ガチョウに対するトウモロコシ以上に、効率的に脂肪肝になってしまう方法があります。それは、糖質が最も精製された状態、「砂糖」を食べることです。
砂糖は「ブドウ糖」と「果糖」が合わさったものでしたね。トウモロコシとの違いは「果糖」が含まれていることです。砂糖を摂取する方法の中でも砂糖を水に溶かした飲料、「砂糖水」を飲むことが、最も効率的に脂肪肝になってしまう方法なのです。
肥満・脂肪肝の方が飲んではいけない「砂糖水のリスト」を、図表3に挙げておきます。
加糖炭酸飲料だけでなく、加糖コーヒー飲料、エナジードリンク、100%果物ジュース、野菜ジュース、スポーツドリンク、乳酸菌飲料の中に、どのくらいの量の糖質が含まれているかを砂糖換算で表示しています。
加糖飲料の甘味成分にはほとんどの場合、砂糖の代わりに果糖ブドウ糖液糖が使われています。飲料だけではありません。果糖ブドウ糖液糖は、カップ麺、スナック菓子、アイスクリーム、パン、ケーキ、クッキー、ソース、ケチャップなど、ふだん食べているあらゆる加工食品に添加されている甘味料なのです。
果糖ブドウ糖液糖が加工食品によく使われているのには3つの理由があります。
2 砂糖より甘味が強いため食品が美味しくなること
3 液体のため混ぜて加工しやすいこと
製造者にとってはいいことずくめなのです。
果糖はブドウ糖の5倍肝臓に悪い
では、ブドウ糖の相方である果糖は、どのような作用を持つのでしょうか?
果物の糖という名称からのイメージで、カラダによい糖であると思われている方がいるかもしれません。実は、果糖はブドウ糖以上に肝臓を脂肪化させ、直接的に肝障害を与える悪玉糖と呼ぶべき糖なのです。
果糖は小腸でも一部代謝されますが、過剰に摂取された果糖は肝臓に流入し、肝臓での脂肪合成を促進します。一方、ブドウ糖の8割は肝臓外の組織でエネルギーとして利用され、肝臓内で代謝されるのは2割です。同じ量のブドウ糖と果糖ならば、果糖のほうが5倍肝臓に負担をかけているのです。
砂糖や果糖ブドウ糖液糖の入った食べ物を摂取すると、消化管でブドウ糖と果糖に分解されます。肝臓に入った果糖は、肝細胞内のミトコンドリア(※)でエネルギー源として代謝されます。
ミトコンドリアの処理能力を超えた果糖は、ブドウ糖のようにグリコーゲンに変換されることはなく、肝臓で中性脂肪に変換され(Hepatic de novo lipogenesis)、肝細胞内や内臓脂肪、皮下脂肪として蓄積されるのです。
果糖は、高脂質食よりはるかに肝臓での脂肪化を促進します。また、この脂肪化にはインスリンを必要としないため、インスリンの働きが悪くなった状態=インスリン抵抗性のある状態でも、脂肪生成が進むのです。
最終的に、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールにも変換されます。
また、細胞内のエネルギー源であるATPを枯渇させ、ミトコンドリアの脂肪酸酸化の抑制を招き、細胞傷害性のある活性酸素の産生を増加させて、肝細胞を傷めていくのです。
砂糖水について、まとめましょう。
2 肝臓に向かう果糖濃度を一気に高めて、効率的に肝臓で脂肪をつくり、脂肪を溜める
このダブルパンチが効率的に起こる脂肪肝の元凶なのです。
私たちの外来では、肥満・脂肪肝の方への最優先の指導として、加糖飲料を禁じ、飲み物を水、お茶、ブラックコーヒーのいずれかだけにすることをおすすめしています。
実際、先ほどの図表に示した飲料のいずれかを毎日飲まれている方は、それをやめるだけで1カ月で体重が減少し、血液検査でも肝酵素(AST、ALT)、γ-GTP、中性脂肪、LDLコレステロール値が低下し始めます。
※ミトコンドリア……細胞の中の小器官の1つ。「エネルギー通貨」と呼ばれるアデノシン三リン酸(ATP)を、生物のエネルギー原料として合成している。
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