ドイツのジャガイモは日本にとってのお米

【川口】一方、ジャガイモは家庭料理としていろいろなパターンのお料理があるし、正式なレストランなどでは付け合わせとしての定番です。ドイツのジャガイモは、お料理に合わせて何十もの種類があり、付け合わせに向いた種類、ポテトサラダに向いた種類と、まさに日本のお米文化ほどの繊細な分類となっています。

なお、ドイツの名物とされているシュヴァインスハクセ(豚すね肉の丸焼き)や、アイスバイン(豚すね肉の煮込み)は、本来なら高級料理のジャンルには入りません。旅行者はよく注文していますが、ドイツ人で食べている人を見かけるのは非常に稀。どちらも肉の塊で、ボリュームがありすぎるし、何となく野蛮っぽくて、現代の風潮には合いにくいところがありますね。でも、ちゃんとしたお店でいただくと、これも美味しいものです。

ちなみに、日本で「ドイツ料理店」の看板を掲げている店は非常に少ないけれど、だからといって、在日ドイツ人がドイツ料理を恋しがっている風もありません。ドイツ風ビアホールがあれば、OKでしょう。

ミラノでは無名だったマリトッツォ

【川口】また、日本で有名なバウムクーヘンも、実はドイツでは一般的なお菓子ではありません。バウムクーヘンが日本で広まった背景には、第一次世界大戦中に日本で捕虜生活を送ったドイツ人菓子職人カール・ユーハイムが、広島でバウムクーヘンを広めたという歴史があるそうです。日本では“ドイツ菓子の代表”として定着しましたが、ドイツではクリスマスのお菓子です。でも、食べたことのない人も多いと思います。

【ヴィズマーラ】日本で2019年頃に大流行した「マリトッツォ」は、ローマ発祥の伝統的な菓子で、バールで朝食として食べられる伝統的な菓子です。しかしミラノではほとんど知られておらず、特に東京や大阪で人気が出た後、イタリアの一部都市でも注目されるようになりました。

マリトッツォ
マリトッツォ(写真=Saggittarius A/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

日本の商社が「日本でまだ知られていないイタリアもの」を探して流行を作るケースは多く、マリトッツォはその典型例です。