台頭する「民主社会主義者」たち
――こうした世論の変化の中で、民主党、共和党はどのように変わっているのでしょうか。
【井上】民主党の中では、DSA(アメリカ民主社会主義者)と呼ばれる人たちが台頭してきていることが注目されています。
彼らは国民皆保険や非介入主義といった、従来の民主党の主流派に比べて左派的な主張を展開しており、それが支持を集めています。
共和党の方も基本的にはMAGA派と言われる人たちが熱烈な支持層としてトランプ大統領を支えているわけですが、これだけトランプ大統領の政策に対する批判が強まってくると、トランプ氏とは一定の距離を置きたがるような共和党の候補者たちも出てきています。公然と批判をするような人たちも、一部ですけれども、見られます。
共和党としての政策、あるいはそのトランプ氏の求心力に、徐々に疑問符がつき始めているという状況だと思います。
イスラエルの影響を極力排除したい
――民主党の方の民主社会主義者は、具体的にどんな政策を訴えているのでしょうか?
【井上】民主社会主義者の人たちは、やはり再分配を追求するような政策を強く訴えています。これまでの民主党の穏健派や中道派の人たちとは一線を画した主張を展開しています。
民主社会主義者というのは政党ではなく、民主党の中の一部のグループです。現在、急激に会員数を伸ばしていて、12万人ぐらい会員がいると言われています。
全国組織として展開している部分もあれば、各州、地域レベルで活動していたりする部分もあるので、すべてがまとまったひとつの主張のもとで活動しているというわけではありません。
実態がなかなかわかりにくい集団ではあるのですが、ひとつ言えるのは、より公平で平等な社会の実現を目指すような活動をしているところが、特徴的なのかなと考えています。
――民主社会主義者の象徴的な人物といえばニューヨークの市長になったゾーラン・マムダニ氏が挙げられるかと思います。マムダニ市長は、イスラエルのネタニヤフ首相がニューヨークに来た時に逮捕するべきという発言をして波紋を呼びました。民主社会主義者の外交的な姿勢はどのようなものなのでしょうか。
【井上】外交的には非介入主義、つまりアメリカが外国において無駄な戦争に関与しないということを目指しています。イスラエルの影響を受けることに対する懸念を強く持っており、アメリカの政治からイスラエルの影響を極力排除したいという主張が、ひとつの特徴だと思います。

