トランプ大統領の4億ドル

――選挙までの残り2カ月の中で、共和党が豊富な資金力をテレビCMなどに投じることで追い風を受けることは考えられますか?

【井上】広告もそうだと思いますし、どれだけの人数を選挙活動に動員できるかにも影響すると思いますので、資金力があるということは、有利に働くと思います。

それ以上に今言われているのは、トランプ大統領自身の集めている選挙資金です。4億ドルという、かなりの額を手元に持っているとされています。これがほとんど使われていないということも言われています。お金の動きも選挙の情勢に大きく影響してくるひとつの要素だと思います。

2016年3月19日、アリゾナ州ファウンテン・ヒルズのファウンテン・パークで開催された選挙集会で演説するドナルド・トランプ氏
2016年3月19日、アリゾナ州ファウンテン・ヒルズのファウンテン・パークで開催された選挙集会で演説するドナルド・トランプ氏(写真=Gage Skidmore/CC-BY-SA-2.0/Wikimedia Commons

――トランプ大統領の支持率は直近で38%、対して不支持率が58%です。不支持の方が2割ほど高いのは、政権発足後では最低の水準となっています。今、アメリカの有権者は政治に何を求めているのでしょうか。

【井上】有権者の最大の関心事は、やはり物価高を含む経済ということだと思います。これは世論調査で聞いてもそういった結果になっています。共和党、民主党問わず、支持者が経済に関心を持っていると言えます。

バイデン政権の経済政策への失望が、トランプ政権の誕生につながったと言えますが、トランプ政権になってもインフレの問題は一向に解消されずに、さらに悪化している。これが、トランプ政権に対する大きな逆風になっています。

新たなリーダーを求めている

【井上】加えて、既存政治への不信感が共和党・民主党の双方の支持者に非常に大きい。やはり新たな改革、あるいは新たなリーダーをみんな求めているということだと思います。

この20年間ほど、オバマ政権発足の頃から、有権者は新たな価値観や経済をより良くしてくれるような人物に期待して政権交代を選んできました。

ですが、トランプ大統領になっても、バイデン大統領に代わっても、再びトランプ政権になっても、有権者は裏切られ続けてきたような感覚を持っていると思います。