個人向けに6ブランドで舵を切る
KEURIGで使えるカプセルのラインナップは「20ブランド以上」だ。上島珈琲店やプロントといった大手チェーンから、北海道の人気カフェ「森彦」、コーヒー業界の重鎮が手がける「丸山珈琲」まで。本来は競合関係にあるはずのブランドが同じマシンの上に並んでいる。
KEURIGはUCCが米キューリグ・ドクター・ペッパー社からライセンスを受けて展開している。このため、最初はUCCブランドを冠した状態でサービスを展開していた。運営がグループ会社に移行したことで方針が変わる。UCC関連のブランドのカプセルによる法人向け中心のサービスから個人向けに舵を切ったのだ。
代表取締役社長に就任した西本さんが目指したのが、KEURIGを「家の中でリラックスドリンクを楽しむためのプラットフォーム」にすることだ。そこでラインナップを一新。2019年5月より、上島珈琲店、カフェ英國屋、小川珈琲、セガフレード、タニタカフェ、プロントの6ブランドを用意し、マルチブランド戦略に打って出た。
親会社UCCの看板を外し、無名で勝負
このとき、西本さんが取ったもうひとつの改革がある。それがカプセルからUCCロゴを外したことだ。ロゴがあるとどうしてもUCCの製品という印象になる。あくまでプラットフォームであることを目指すため、KEURIGオリジナルとしてリニューアルをおこなった。
誰もが知る親会社の看板を外し、当時まだ無名だったKEURIGという名前だけで勝負する。社内には「本当に大丈夫か」という不安の声や反対もあったが、「当時の経営陣が『やってみたまえ』というスタンスだったので、自由にやらせてくれた」(西本さん)ことで実行できた。
そして、UCCグループ以外のコーヒーブランドにカプセル化をお願いして回ったが、前例がないこともあって反応は鈍く、当初は40ブランド以上から断られたそうだ。
「転機となったのは丸山珈琲さんでした。丸山さん自身がアメリカでKEURIGが広がっていることを知っていて、加わっていただけました。レジェンドとも言えるブランドが参加してくれたことで信頼が積み上げられました」(西本さん)
コーヒー業界で圧倒的な知名度を持つ丸山珈琲が加わったことで、品質の高いコーヒーブランドがKEURIGに参加しても大丈夫だという空気が業界内に広がり、他ブランド展開に光明が見えた。
UCC色を薄めたことで、KEURIGはさまざまなブランドのコーヒーカプセルが共存できる中立の場としての信用を積み上げていく。そして現在ではその結果、以前は断られる一方だった立場が逆転した。「近年ではブランドから売り込みがくるようになりました」(西本さん)。

