漫画雑誌はすたれても電子コミックで生き返る

もっとも、暗い話題ばかりの新聞や書籍と違って、漫画の現在地はちょっと様相が異なる。ネットを利用して読む電子漫画(電子コミック)が、右肩上がりで急速に伸びているのだ。

【図表】電子出版の市場規模
※取次ルート/出典=出版科学研究所『出版指標 年報 2025年版』

電子コミックは、現在はスマホにアプリをダウンロードして読むのが一般的。2000年代半ばに電子書店の「コミックシーモア」(NTTソルマーレ)や「めちゃコミック」(アムタス)がサービスを始めていたが、2010年代半ばにスマホの普及とともに大手出版社が次々に参入して「少年ジャンプ+」(集英社)、「マガポケ」(講談社)、「サンデーうぇぶり」(小学館)などの漫画アプリを提供、時を前後して出版社の作品を横断的に読める電子コミック配信サービスのピッコマ(カカオピッコマ)や「LINEマンガ」(LINE Digital Frontier)も登場して、一気に広がった。「少年ジャンプ+」の累計ダウンロード数は3000万件を超えたという。

作品のラインナップはアプリごとに特徴があり、入手方法や料金設定もバリエーションが豊富で、読者はニーズに合わせて読みたい漫画を選べるようになった。こうなると、漫画雑誌を買うインセンティブは大幅に低下してしまう。

出版科学研究所のデータでは、電子コミック(コミック誌を含む)の市場規模は2025年に5273億円に達し、統計を取り始めた2014年の6倍という急成長ぶり。

既存の印刷版の雑誌と単行本を合わせた漫画市場は、まだ印刷版が主役だった2010年代はおおむね4000億円台で推移していたが、電子コミックが本格的に普及した2020年代に入ると一気に6000億円台にハネ上がり、2024年には7000億円を超えた。2025年は6925億円で、電子コミックが4分の3を占める。

漫画市場全体でみると、電子コミックが漫画雑誌と置き換わったうえに、市場規模を押し上げるという劇的な構造転換が起きている。

さらにいえば、電子書籍や電子雑誌を合わせた電子出版は、電子コミックが9割以上を占めるため、「電子出版市場=ほぼ電子コミック市場」といってもいい。

出版市場が縮小する中、こと漫画に限っては、漫画雑誌はすたれても、電子コミックとして生き返っている。

電子コミック頼みの「一本足打法」

電子コミックの急伸は、出版不況が叫ばれて久しい出版界を下支えしている。

印刷版と電子版を合わせた出版市場は、1996年に2兆6000億円のピークに達した後、減少トレンドに直面していたが、2010年代半ばからは1兆6000億円前後で下げ止まった。

2025年は1兆5462億円だが、このうち電子版は5815億円と10年間で3倍に急拡大し、印刷版の大幅減を補っている。また、漫画は6925億円に達し、市場に占める割合も45%と半分近くを占める。2016年の27%から大きく伸びており、電子コミックが市場を牽引していることは間違いない。