家庭を「安全の場」にしていく

大切なのは、「気づいている」ということを、落ち着いた態度で子どもに伝えることです。

「最近、傷が増えているね」「なにかあったのかな」、そして「無理にとは言わないけれど、私はあなたが話してくれたらうれしいよ」と、しっかりと言葉にして伝えることが重要です。

こうした言葉をかけておくだけで、子どもからSOSを出しやすいオープンな状況をつくることができます。

子どもが思春期であれば、親子関係がぎくしゃくしてしまう家庭もあるでしょう。すぐに親子でなんでも話せるようになるのは難しいかもしれません。

でも、親が子に向き合い、関わりをもち続ける意思があることをきちんと態度で示していけば、少しずつ信頼が積み重なっていきます。

さらに、家庭が本人にとって「安全の場」として機能できれば、状況は変化します。「ここなら話してもいい」「つらくなったら戻ってこられる」。そう感じられたら、生きる力をとり戻すことができるはずです。

困ったときにSOSを出せる関係を築くことそのものが、状況改善や自殺予防にダイレクトにつながっていくのです。

家族(親子3人)が犬やペットと遊んでいる様
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親は「支えを必要とする側」でもある

子どもの自傷に向き合うとき、家族だけで子どもを支えようとすることには限界があります。

ある研究では、自傷のある子を支える親は、ショックや不安、無力感、罪悪感、孤立を経験しやすく、そのことが子どもを支える力にも影響しうるとされています(※)。だから親は「支える側」であると同時に、「支えを必要とする側」でもあるのです。

家族は本人との距離が近いため、どうしても感情的な反応が起こりやすくなります。

批判や過干渉、あるいは無視といった関わりは、本人に「理解されない」という感覚を与え、苦しさを強めてしまいます。こうした状況を防ぐためにも、家族が専門家とつながることは重要です。

医療機関や相談機関とつながることは、治療を受けるためだけではありません。

第三者の視点を得て、いまなにが起きているのかを整理し、家族がどのように関わればよいかを学ぶ機会にもなります。それにより親子関係が安定し、結果的に子どもの状態がよくなることもあります。

※ Arbuthnott AE, Lewis SP. Parents of youth who self-injure: a review of the literature and implications for mental health professionals. 2015