145年前はたった数万円で落札
これほどの傑作が、かつて二束三文で売られていたことをご存じだろうか。
1881年、この絵が最後にオークションにかけられた時、落札価格は「2ギルダー30セント」だった。現在の日本円にして、数万円である。
なぜそんなことになったのか。当時、この絵は汚れがひどく、フェルメールの作品だと認識されていなかった。
そもそもフェルメール自身が、長い間忘れられた画家だったのだ。
19世紀にフランスの美術評論家トレ=ビュルガーによって「再発見」されるまで、フェルメールの名はほとんど知られていなかった。
回顧展が開かれ、研究が進み、評価が高まり、現在では数百億円の価値があるとも言われている。
誰でもない少女が、世界で最も愛される少女になった。
忘れられた画家が、巨匠と呼ばれるようになった。
この絵の物語は、美術の世界がいかに移ろいやすいかを、物語っている。


