命に関わるHUS(溶血性尿毒症症候群)

腸管出血性大腸菌に感染すると、通常は数日の潜伏期間を経て、水のような下痢や激しい腹痛が起こり、その後、血便が出ることがあります。発熱はそれほど目立たないこともあります。

大体の人はこうした腸炎だけで回復しますが、症状が出た人の6~7%程度では、発症から数日~2週間ほどの間にHUS(溶血性尿毒症症候群)などの重い合併症を起こします。HUSになると、赤血球が壊れ、血小板が減り、腎臓の働きが悪くなって、尿が出にくくなったり、むくんだりします。治療は水分や全身状態を慎重に管理することが中心で、腎不全が重い場合には透析が必要になることもあります。特に子どもや高齢者では重症化しやすいため注意が必要です。

私自身、研修医だった頃にHUSを起こした子どもを診療したことがあります。ご家族の中で、その子だけが合併症を起こし、腎不全から腹膜透析が必要になり、長期の入院治療を余儀なくされました。幸いにも命は助かりましたが、ご家族の不安は計り知れないものでした。