32歳で自分の店をもつが、1年目は赤字
興味をもったことは突き詰めたくなる佐藤さんは、飲食店でアルバイトに打ち込むなかで「自分の店をもつ」という目標をもった。割烹、イタリアン、ビストロなどさまざまな店で調理の経験を積み、ノウハウを習得。2009年、32歳のときに居酒屋を始めた。
1年目の売り上げは2000万円だったが、家賃や経費を差し引くと赤字。突破口を探すなかで、ふと大学時代のオレゴンワインの思い出が蘇る。
日本でワインといえばフランス、イタリア、チリあたりが主流。オレゴン産のワインを置いている店は少ないと佐藤さん自身が感じていたため、2011年、東京で唯一のオレゴンワイン専門店「Soyokaze」としてリニューアル。店が軌道に乗り、3800万円を売り上げた年もあった。
しかし、繁盛しているにもかかわらず、佐藤さんは2016年に店を閉める。なぜか?
勝てない世界で負けないために
リニューアルの翌年、大阪のレストラン兼ワインバー「CONEXTION(コネクション)」のオーナー・藤次洋貴さんと出会った。藤次さんは「ザ・リッツ・カールトン大阪」のメインダイニングで修行を積んだカリスマソムリエ。東京で唯一のオレゴンワイン専門店の存在を聞きつけ、出張の際にわざわざ立ち寄ってくれたのだという。
その際、藤次さんからオレゴンワインについてたくさんの話を聞き、佐藤さんは「自分より詳しい人がいるのか」と衝撃を受けた。
それを機に、ワインの知識を深めるのに躍起になった。国内外のワイナリーを訪れ、浴びるようにワインをテイスティング。店を経営しながら勉強に励み、2014年にソムリエの資格を一発合格で取得した。
しかし、それでも満足できなかった。
「20代はまったく違う業界にいて、食やワインに関する基礎がないという引け目もありました。シェフなのに、ソムリエなのに、本場のヨーロッパで学んだ経験がないのがコンプレックスで」
勝てないとしても、負けたくない。豊富な知識・技術・経験をもつ玄人たちと肩を並べてやっていくために何が必要か、ひたすら考えるようになった。「佐藤商店」であり続けるには、自分だけの強みをもたなければならない。


