なぜ利益率が低いのか

図表4はヴィレッジヴァンガードの営業利益率を示したものです。この10年間のうち合計4年は営業損失が生じ、営業黒字だった6年も営業利益率は1%前後です。

ヴィレッジヴァンガード営業利益率
出所:『最高の教訓 倒産』(大和書房)

「小売なので利益率が低いのは当然ではないか?」

このように感じる読者もいるかもしれません。確かに小売の利益率は数%が一般的です。ですが、かつて増収増益を続けていた頃の2010年5月期のヴィレッジヴァンガードの営業利益率はなんと9%(売上高366億円、営業利益33億円)でした。その頃と比較すると、この10年は明らかに利益を出せなくなってしまったと言えます。

一方で、小売での競合他社である株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス傘下の株式会社ドン・キホーテ(以下、ドン・キホーテ)の営業利益率は7.8%(2024 年6月期)、100円ショップを展開する株式会社セリア(以下、セリア)の営業利益率は7.1%(2025年5月期)です。

ただし、誤解が生まれないよう付言しておくと、セリアは小売の中でも利益率が高い企業です。実際、同じく100円ショップを展開する株式会社キャンドゥ(以下、キャンドゥ)の利益率は1%前後。それでもここ数年のヴィレッジヴァンガードの利益率よりは高く、同社がいかに苦しい状況にあるかがよくわかります。

原価率も人件費も下がらない

その要因を見るためにも、P/Lの構成を確認してみましょう。

ヴィレッジヴァンガード 2010年5月期及び2025年のP/L比較
出所:『最高の教訓 倒産』(大和書房)

図表5はヴィレッジヴァンガードの2010年5月期のP/Lと2025年5月期のP/Lの構成費を比較したものです。

2010年5月期には9%だった営業利益率が、直近の2025年5月期では▲3.7%まで下がっています。その主な要因は原価率の3.9%上昇及び人件費の4.2%上昇です。

従業員数で見れば、2010年5月期において売上高366億円に対して、正社員は323人。他方、2025年5月期では売上高249億円に対して正社員は356人。

売上高は3割以上下がっている一方で、社員数は1割も多い状況です。人件費でも2010年5月期は43.2億円に対して、2025年5月期は42.7億円とほぼ同水準です。

このように、売上は減っているのに原価率は上昇し、そのうえ人件費も抑えられていません。これが利益率を押し下げる最大の要因になっています。