吹っ切れた朝の上司への退職メール
箱根から帰った夜、翌朝。月曜の朝、9時半。私はオフィスのデスクに着いて、PCを開きました。上司へのメールを書いたのです。「お忙しいところ恐縮です。本日、15分ほどお時間いただけますでしょうか」。たった一行に、9カ月かかりました。
不思議なものです。9カ月間、あんなに「辞める」と思っていたのに送れなかったメールが、あの夜の翌朝には書けた。
9カ月間、毎朝考えていました。辞めるべき理由は増えていく。でも夜になると「もう一日だけ」と思っている。その繰り返しでした。頭の中がずっと同じところをぐるぐるしていて、出口が見えない。悩めば悩むほど、答えから遠ざかっていく感じがしていました。
たぶん、悩み続けているときって、視野がどんどん狭くなっていくんだと思います。「辞めるか辞めないか」だけしか見えなくなる。
でも笑い転げた翌朝は、なぜかそれより広いところから考えられました。だから、大事な選択ほど、楽しい瞬間の後にしたほうがいいと思っています。悩み抜いた末に出した答えより、笑い転げた翌朝に出た答えのほうが、少なくとも私には、ずっと正直でした。
子どもの頃に母から言われたことの意味が、あの朝、ようやくわかった気がしました。


