次々に新しい役所組織が生まれている

霞が関の公務員といえば、国会対応などのために、やたら残業が多いというイメージが強く、「ブラック職場」として学生に敬遠される一因になっていた。人事院では残業削減に取り組んだほか、育児休業の取得促進など、職場環境の改善を進めた。男性職員の育休取得率は24年度に85.9%に達した。19年度は28%だったというから劇的な改善だ。加えて、給与も民間よりも良いとなれば、公務員志願者が増えるのは当然とも言える。

問題は、少子化によって人口減少が始まっている中で、国家公務員の役割をどうしていくのか、という根本的な考えが定まっていないことだ。復興庁や消費者庁、デジタル庁など次々に新しい役所組織が生まれているが、その流れが高市早苗内閣でも加速している。

防災庁の設置が準備されているほか、国家情報会議、国家情報局、対日外国投資委員会などが矢継ぎ早に設置されることになっている。これに伴って事務局組織も当然増えるわけで、官僚機構は放っておけば肥大化する。言うまでもなく官僚機構は利益を生み出すわけではない。官僚機構の役割をどう設定するのか。それを支える公務員制度をどう再設計するかが問題になる。

国会議事堂
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安倍政権とはまるで違う方向性

アベノミクスを掲げた安倍晋三政権では、利益を生み出す民間企業の投資を喚起する成長戦略を掲げ、その柱として「規制改革」を「一丁目一番地」に掲げた。政府の役割を小さくし、民業を圧迫しない「小さな政府」型の構造改革を進めることを目指した必然として「公務員制度改革」が政権の重要課題になった。「事務次官会議」の廃止で官邸主導を実現し、「内閣人事局」の設置で公務員人事に政治介入できるようにしたのも、官僚機構の機能を小さくし、効率化することに主眼があった。

高市首相は安倍首相の後継者を標榜するが、政策の方向性は大きく違う。「戦略17分野」を定め、政府が投資の先鞭を付けることで民間企業を動かす「官民協同」をかかげる。政府、つまり官僚機構が主導権を握って国家予算を投入する積極財政で景気を回復させようという戦術である。明らかに「大きな政府」型の戦略をとっている。そうした中で、かつてのような公務員制度改革の議論がまったく生まれてこないのも必然なのだ。