私立大学職員だった男性は副業として焼肉店を開業し、SNSを駆使して看板商品を見事にバズらせて店は連日大行列。だが、新型コロナ・ウイルスの蔓延で一気に客足が遠のいた。男性が生き残りのために次に手がけたのは「フルーツ大福」。これまた大人気となり、店舗数は急拡大したがその後、失速。いったい何があったのか――。

※本稿は、鈴木智哉『バズらせない地域SNSでひとり起業』(ビジネス社)の一部を再編集したものです。

フルーツ大福とともに、東京進出

背筋が凍るような予感は的中しました。新型コロナ・ウイルスの蔓延で店(焼肉店「令和ホルモン」)の前から行列がきれいさっぱり消え失せたのです。当然、売上は激減。それでも、なんとか生き残ろうと試行錯誤しました。SNSで仕入れた情報をもとに「カップ入りお好み焼き」などを売り出したりもしましたが、なかなかうまくいきませんでした。

ステーキ丼
焼肉店「令和ホルモン」で大ヒットしたステーキ丼(写真提供=著者)

そんな中、新しい商売のタネを探していた僕の目に留まったのが「フルーツ大福」でした。イチゴやみかん、キウイフルーツなどの果実が、大福の真ん中にまるごと入ったスイーツです。

「SNS×グルメ」の世界を研究してきた感覚から、「これはいける!」と直感しました。

一番のポイントは、断面のビジュアルの強さ。カラフルで、みずみずしく、可愛らしい。特に女性の心をつかめる商品だということはすぐにわかりました。参入にあたって大規模な投資が必要なわけではなく、ギフト需要や通販での展開も見込めます。商品力の高さに惚れ込みました。

2020年9月、事業化を目指して行動を開始。独学でフルーツ大福の研究を進める一方、名古屋にある和菓子店で短期間ながら修行もしました。

「絶対に東京で勝負すべきですよ!」

いったん大阪に戻って作戦を立てよう――そう思っていたときです。

ある友人から、こんなふうにハッパをかけられました。

「智哉さん、大阪に帰ってどうするんですか? ちっちゃい経営者で終わるつもりですか? 絶対に東京で勝負すべきですよ!」

その友人は、僕よりも年下でありながら大きな夢を描いて会社を経営しています。熱い言葉をかけられて、僕の心にも火がつきました。

大阪に帰るのをキャンセルし、逆方向の新幹線で東京に向かったのです。そこから怒涛のスピードで準備を進めました。

鈴木智哉氏
鈴木智哉さん(写真提供=本人)

金沢の、甘さ控えめの上質な白あんを使うことをブランドの中心に据えることとし、急ピッチで生産工程を確立。そして11月22日、東京スカイツリーの近くに「金沢フルーツ大福 凛々堂」1号店をオープンしました。