親の「運転技能」を同乗して確認する方法
他方で、リスクを察知してからブレーキやハンドル操作に移るまでの反応時間を年代別に分析した研究では、平均値は加齢とともに遅くなる傾向が見られます。
しかし同時に、世代間の数値の重なりも大きく、70代でも40代に相当するレベルで反応が速い人もいれば、40〜50代でも高齢世代並みに遅い人がいます。つまり、運転能力は年齢だけで決まるものではなく、個人差が大きいのです。
だからこそ重要なのが家族の目線です。高齢の親の運転に同乗し、図表2で紹介する評価表を使って実際の運転を客観的に見ていくことは、安全を守る第一歩になります。
なお、同表は私がフロリダ大学クラッセン教授らと作成したものをベースにしています。
免許返納は、その後の「モビ活」とセットで
近年、免許証の自主返納にも関心が高まっています。
グラフを見ると、返納件数は2019年に大きく増加し、その後はいったん減少、そして2024年には再びやや増加しています。ただし、75歳以上に限ってみると大きな増加は見られず、全体としては横ばいに近い状況です。
このように返納の動きは、個人の状態だけでなく、社会的な出来事の影響も受けます。実際、2019年の増加は重大事故の影響が大きく、その後の減少にはコロナ禍の影響も指摘されています。
実際に返納された方のお話を聞くと、「運転技能が低下したから」というよりも、「運転時にまわりが見えにくくなってきた」「反応が遅くなった気がする」、そして具体的な自覚的機能低下がなくても「とにかく事故を起こしてはいけない」といった理由から、早めに判断される方が多いようです。
こうした判断はとても大切ですが、一方で考えておきたいのが、返納後の生活です。
車が使えなくなることで、日々の買い物、通院、そして人とのつながりにどのような影響が出るのかを、あらかじめ見ておく必要があります。
とくに重要なのは、「自宅」と「買い物の場所」、「医療機関」を結んだ“モビリティ・トライアングル”の中での移動です。
これらをどのように確保するかは、事前に具体的に考えておかなければなりません。



