「一見さんお断り」を突破する裏ワザ

郭さんによると、代購ビジネスにおける在日中国人の優位性は、日本の在留資格を持っていること、また場合によっては、日本国籍を取得していることだという。

頻繁に銀座のブランドショップに顔を出し、まず店員と顔見知りになる。その店員も中国人が多いので話しやすい。足を使って何度も通いつめ、購入を繰り返して得意客になり、ショップや店員との信頼関係を構築する。

「高級ブランドショップでは、『一見いちげんさん』には販売していない商品があります。店内に展示されていても、目の前の商品が買えないことがある。なので、私たちはまず一定以上の金額をお店に落とさなければなりません。それは数日しか滞在していない観光客にはできないことなので、在日中国人の出番なのです」(郭さん)

エルメスの「バーキン」や「ケリー」など有名ブランドほど、代購の手数料は大きいという。この代購ビジネスは、在日中国人同士で展開(得意客が買い、転売する)されることも増えてきた、と郭さんは話していた。

日本の処方薬が秘密裏に売買されている

代購ビジネスでは、「ちょっとヤバいもの」も扱われている。

中国人がSNSで売っている日本の薬
写真=中国のSNSより
中国人がSNSで売っている日本の薬

中国人のSNSを見ていると、中国に帰省した人が処方薬の写真を投稿しているのをときどき見かける。どのようにして中国に持ち込むのだろうか。郭さんをはじめ、何人かに話を聞いてみた。

彼女たちの話を総合すると、東京や大阪にある中国人経営の薬局が処方箋なしで処方薬を密かに販売しているという。それがハンドキャリーなどで中国に持ち込まれているというのが実態らしい。

中国人経営の薬局と日本人経営の病院が結託している場合もあり、処方箋を横流しするケースもある。在日中国人が日本の病院で「正式に」処方してもらった薬を中国現地の人に販売することも少なくない。爆買いブームのときは日本のドラッグストアで販売されている「命の母A」や「サロンパス」といった「市販薬」が人気だったが、いまは処方薬を求める人が多く、その入手と販売に在日中国人が関与しているのだ。