テントで生活していたら、えっちゃんが食事を…

クリスティさんは移住にあたってえっちゃんの家の裏山を購入したものの、家はなく、テントで生活していたところに、えっちゃんが見かねて食事やふろを提供し、今のような付き合いが始まったという。現在では大田地区に家を構え、仕事のパートナーでもある妻の美保子さんと3人の子供とともに暮らす。

ツアー参加者に話しかけるえっちゃん(右から2番目)
筆者撮影
クリスティさん(右端)、イグナスさん(左から2番目)とともにツアー参加者をもてなすえっちゃん

ツアーの企画でクリスティさんが徹底して心がけているのが、訪問する地域への利益還元だ。宿泊には外資系ホテルは使わず、地元の旅館やホテルを利用する。徒歩以外の移動手段が必要なときでも前述したように大型貸切バスを使わない。宿泊や移動のお金を極力地元に落とし、利益が外国や東京などの大都市に流れないよう配慮している。

「大田地区に限らず日本の地方は年々過疎化が深刻になっている。われわれがツアーを催行したり、オフィスを置いたりすることによって少しでも地域の活性化に役立てば」とクリスティさん。最近では大田地区を盛り上げるために、農地を買い取り、独自で農作業を行うプロジェクトも始めた。

観光立国への一歩は集落から始まる

日本へのインバウンド旅行者数は、中東情勢や対中関係の悪化などで一時的にスローダウンしているものの、安全で観光資産の豊富な日本を目指す外国人が今後も増え続けるのは確実だ。観光立国を目指す政府は今春、第5次観光立国推進基本計画を策定し、これまで以上に「持続可能な観光産業の発展」を強調した。そのために提唱されているのが、オーバーツーリズムの緩和とインバウンド旅行者の地方への分散だ。

地方の観光資産を外国人の視点から掘り起こし、「少人数によるウォーキングツアー」という住民や環境にやさしい形で実施するクリスティさんの試みが、問題解決の方向性を示唆しているのは間違いない。まだまだ規模は小さいが、観光立国に向けての確実な一歩となっている。

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