「今、ここ」と唱えて、意識を引き戻す

瞑想では「今、ここ」に集中する意識を保つことが重視されている。

禅僧のように、山寺に籠もって坐禅を組まなくても、「今、ここ」と唱えれば、日常生活のなかで、絶えず流れ込んでくる周囲の雑音や己の心の雑念を消し去り、精神統一できる。

これは即時快楽の誘惑に対しても、そのまま適用可能だ。

即時快楽の誘惑とは、つまり「今、やっていることよりも楽しそうなこと」が、ふいにやってくるということ。ひとたび意識がそちらに全シフトして、ワクワクと胸躍ってしまったら、もう戻ってこられない。

「タスクは完遂していないけど、ちょっとだけYouTubeを見ようかな」といった内側からの即時快楽の誘惑や、「ランチ、一緒にどう?」といった外側からの即時快楽の誘惑が生じたら、まず「今、ここ」と唱えてみるといい。

それだけで、目の前のタスクから即時快楽へと方向転換しかけている自分の意識を、サッと引き戻すことができるのだ。

「断る勇気」よりも「断る言葉」を

ここで、外側から聞こえてくる“悪魔のささやき”に効果的な技も紹介しておこう。

オフィスでタスクに取り組んでいると、ふいに上司や同僚から声をかけられることがある。「どう? 今から軽く飲みに行かない?」といったお誘いを受けると、タスクの真っ最中でも一瞬で意識が誘惑へシフトして、「はい、行きます!」と即答してしまう。よくあることではないだろうか。

こうなると、後悔先に立たず。翌日には「誘惑に負けた昨日の自分」を恨みながら、やり残したタスクを終わらせるところから始める羽目になるだろう。前日から持ち越している分、その日の計画は順繰りに後ろ倒しになってしまう。

僕が推奨する「一日3タスクまで」を鉄則に計画を立てていたとしても、暇なわけではない。やり残したことを終わらせるために「余白」を使い果たした挙げ句、その日のタスクを完遂できずに、また翌日に持ち越すことになる危険すらある。

そんな事態を未然に防ぐには、外側からの悪魔のささやきを断たなくてはいけない。

特に上司や同僚の誘いを断るのは勇気がいることだが、ここで気合と根性を持ち出すのは負け戦になる公算大。やはり精神論ではなく、仕組みが必要。すなわち、自分のなかで断る「理由」や「言葉」を決めておくといいだろう。

「めちゃくちゃ行きたいんですけど、今日はこれを終わらせないと……。また今度、誘ってください!」
「今日は、荷物の受け取りがあるんで、○時に家に帰っておかないとマズいんです」
「うわー、残念。今、実家から親が来てまして、夜ご飯を一緒に食べることに……」

など、「断り方のテンプレ」を、いくつかストックしておくのだ。

最初は断った瞬間、少し寂しさや後悔の念がわくかもしれない。「付き合いが悪いやつだと思われるんじゃないだろうか」「仕事は明日に回して誘いに乗ったほうが、自分のためになるんじゃないか?」という考えが浮かぶこともあるだろう。