優良事業がみるみる赤字に転落
ところがその後、民間企業となったにもかかわらず郵政グループは政争の具となり、国が関与し続けたために利益が上がらなくなり、民間からも優秀な経営者は来なくなりました。
たとえば、2013年に鳴り物入りで民間から社長になった西室泰三氏は、見通しの甘さから約6200億円で買った豪州のトール社を、最終的には約7億円で売却。西室氏は、不適切会計問題などで、世界の東芝を破綻寸前にまで追い込んだ張本人でもありました。
結果、日本郵便(連結)は大黒柱の郵便・物流事業で赤字を続け、営業損益は2022年度211億円、23年度896億円、24年度630億円と惨憺たる状況。25年度は、郵便料金の値上げや貨物の増加で黒字化する予定でしたが、最終的に118億円の赤字となりました。
銀行と保険会社の上納金だけでは足りない
現在、郵便局を支えているのは「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」。2018年に「交付金・拠出制度」が創設され、「郵政管理・支援機構」に対して、民間企業になったはずの上記2社が“上納金”を納めて郵便局を支えることになりました。
その額が、2024年度約3030億円、25年度3207億円、26年度3334億円と年々増え続けていて、2社の経営を圧迫しています。そのため、社員には重いノルマが課され、それが金融商品の押し売りや手数料目当ての不当な保険契約、保険金の不払いなどのモラルハザードの要因の一つになっていると言われています。
しかも、増え続ける赤字をこの2社からの上納金だけでは補いきれず、公金で郵便局を支えようというのが今回成立した「郵政民営化改正法」。
日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の郵政3社の株の配当金や、皆さんが引き出し忘れている郵便貯金を使うというのですが、これらのお金は、本来なら皆さんの生活を豊かにするために使われるはずのもの。ところが、このお金を経営に失敗した郵便企業のツケを払うために使うというのは、あり得ない。しかも、この先ずっと支援額が増えていくかもしれないのです。
ちなみに、この「郵政民営化改正法」案は2025年、石破政権の時にも出されましたが少数与党だったので通りませんでした。ところが、高市首相が2026年2月の衆議院選で圧勝し、巨大与党となったことで、スルっと通ってしまいました。

