母の死に直面して、思い直したこと

未だに私はこの井上さんの考え方に賛同できない部分はありますが、ただ、死に向かう人の身になってみれば、そして何よりその姿を見送る家族や友人の気持、すなわち最もつらい二人称の死に直面する人たちの気持を想像してみれば、もしかすると「余命」を宣告されることは、理想的な死であるのかもしれないと思い直しました。

母の死に直面したとき、ささやかながらそんなことを思いました。

母が亡くなる5年前に父は他界しました。そのときすでに94歳で、高齢者病院に入っていたので、突然の死というわけではなかったのですが、父の危篤の知らせを受けたとき、私は仕事があってすぐに駆けつけることができませんでした。仕事を終えて急いで病院へ向かったのですが、臨終には間に合いませんでした。