立ちはだかった三つの壁
もちろん、道のりは平坦ではありませんでした。
アメリカで売るということは、日本の常識を一度、すべて脇に置くことでもありました。立ちはだかったのは、大きく三つの壁です。
・「見せ方」の壁
アメリカの買い物客がどんな言葉で商品を探し、どんなページなら安心して買うのか。
それは日本とはまるで違いました。
「タコマ カップホルダー」「ラングラー アクセサリー」――現地のオーナーが実際に打ち込む検索の言葉を一つずつ拾い上げ、商品名も写真も説明の並べ方もアメリカの感覚に合わせて組み直していきました。
出発点は、レビューゼロ。誰の目にも留まらないところからのスタートです。
アメリカの買いもの客は、レビューの数と星の数を日本以上にシビアに見ますから、ここを地道に積み上げることが、最初の正念場でした。
・「知ってもらう」壁
アメリカの広告は、できることもルールも、日本とは別物でした。
しかもその手法は、半年もすれば様変わりしました。
昨日の正解が、今日にはもう通用しない。つねに最新のやり方をキャッチアップし、この市場に合うかたちへ翻訳し続ける必要がありました。
・目に見えない「物流」の壁
どれだけ広告で注文を取っても、商品が手元に届かなければ意味がありません。
国内の自社工場から、海を越えてアメリカのAmazon倉庫まで、どのルートでどれだけの時間をかけて運ぶのか。
関税、輸送ルート、リードタイム――それらをすべて計算に入れて、「いつ何個つくり、いつ送り出すか」を設計する。お客さまの「頼めば、すぐ届く」という当たり前の体験を守るための、地味で、しかし決定的に重要な仕事でした。

