そして年商100万ドル(1億5000万円)へ
転機は、“勘”をデータの上に乗せ替えたときでした。
どの商品が、どの車種の、どんな検索語から売れているのか。
広告費を1ドル投じれば、売上は何ドル返ってくるのか。
数字で見えるようになると、打ち手が一変します。
勝っている商品に資源を寄せて、負けている広告は迷わず止める。
その積み重ねで、アメリカでのEC売上は、出品当初のゼロから、わずか1年間で5000万円に。
さらにここからの展開がすごかった。
Amazon.comでの販売が順調であることを知った、アメリカの自動車ディーラーやパーツ販売店が、「この製品を、リアル店舗でも扱いたい」と言ってきたのです。
リアル店舗でも扱われるようになると、ECもさらに売上が伸びていきました。
結果、アメリカでのECにおける年商は約100万ドル――日本円にして、およそ1億5000万円の規模にまで育つことになったのです。
薄利多売の下請け業から世界ブランド企業へ
私はこの挑戦に、戦略づくりから広告運用まで伴走しました。
けれど、最後までやり切ったのは、この会社の40人の社員たちです。
私がこの仕事でいちばん胸を打たれるのは、売上の数字そのものではありません。
長い間「言われたものを、決められた値段でつくる」側にいた会社が、自分たちのブランドを掲げ、地球の裏側の消費者から“名指しで”選ばれる側へ回った――その一点です。
下請けの薄利多売から、自分の名前で世界に売る商売へ。
立っている場所が、180度、変わったのです。
日本の中小企業には、世界で通用する技術と気くばりが、まだ眠っています。
本当は価値があるのに、薄利多売に甘んじている会社は少なくありません。
足りないのは技術ではなく、「どこで、誰に、どう届けるか」という戦略と、それを支えるデータの仕組みだけです。
この小さな地方のカー用品メーカーが教えてくれるのは、世界市場はもう、大企業だけのものではない、というシンプルな事実なのです。



