休息の大切さは広く知られている一方で、実際に休みを取ることは難しい。東京大学特任研究員で臨床心理士の関屋裕希さんは「休むことの大切さを裏付ける科学的研究はたくさんある。しかし、実際に休むことには勇気や決断力、行動力が必要だ」という――。

※本稿は、関屋裕希『仕事が終わらないのはだれのせい? 自分に優しい時間の使い方』(日経BP)の一部を再編集したものです。

仕事中、デスクで頭を抱える女性
写真=iStock.com/Jirapong Manustrong
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タイパ主義×完璧主義のリスク

効率よく時間を使うことが「正しさ」や「努力の証」のように語られることがあります。

時間を完璧に使おうとしすぎると、疲れてしまいます。

タイパを追求する人ほど、「時間を一瞬たりともむだにしたくない」という強い思いを持っています。

完璧主義の人は、「最短の時間で最高の成果を出さなければいけない」と成果の質にもこだわります。

その結果、どれだけ仕事をがんばっても、「これだけ時間をかけたのに、すばらしい成果が出せないのならば、意味がない」と満足できなかったり、「完璧にできなかった自分は劣っている」と自分を責めやすくなります。

スピードと効率を求めるタイパ主義に、高い質を求める完璧主義が組み合わさると、「どんな時間も完璧に有効活用しなければ価値がない」という思考になり、過剰に自分への要求を高めることになります。

計画通りに進まないと焦りやイライラを感じて、少し休んだだけで「自分に甘い」と自分を責めてしまいます。

うつ状態やバーンアウトにもつながる

また、完璧主義の人にとっては、タイパよくできなかった(時間をうまく使えなかった)という出来事が単なる失敗ではなく、自分への評価を傷つけるものになります。

こうなってしまうと常に、緊張や焦り、不安の中で生きることになり、慢性的なストレスや自己否定感、燃え尽き(バーンアウト)を引き起こしかねません。

自責や自己評価の低下は、うつ症状にもつながることがあります。

仕事だけでなく、食事や運動、休息までもが「最適化すべきタスク」になって、すべてを管理して、効率化しなければ気がすまなくなります。

最初は、ちょっとした不安や緊張だったはずが、やがてうつ状態やバーンアウトといった心の不調へとつながっていくケースもあります。

「なんでこんなに疲れているのかわからない」、「何をしても満たされない」というのは、心が「休めていない」サインかもしれません。