先進国で年子のリスクは高くない
じつは、WHOのガイドラインは、低・中所得国での母体の栄養不良、授乳中の児の栄養不良、乳幼児死亡率の高さを考慮して、世界全体の公衆衛生対策として出されたものだと考えられます。米国産婦人科学会は、近年「短い妊娠間隔と周産期リスクの関連は認められるものの、因果関係は完全に証明されてはいない」という慎重な書き方になっています。
つまり、日本、あるいはアメリカのような医療が発達した先進国では、年子が生まれたからといって医療上の注意が必要なことはあまりないでしょう。私自身、小児科医になってずいぶん経ちますが、現代の日本で「もっと妊娠間隔をあけるべきだったのに」という母子の実例を一つも知りません。
また、夫婦やご家族には、それぞれに事情や状況があります。何も知らない他人が勝手にジャッジするばかりか、批判的な意見をぶつけるのはよくないでしょう。他の身近な女性だったとしても、お子さんが生まれたときに何らかの心配があったら批判するのではなく、何か力になれないか声をかけるのが普通だと思います。
カフェでの授乳にも非難の声が
現代の日本には、正しい知識もないのに、他人の子育てに首を突っ込んで口うるさく余計なことを言う人が多くて、本当にうんざりしてしまいます。
同時期に、SNSで「公共の場で授乳ケープを使って母乳を与えることの是非」が話題になりました。これは、あるお母さんがカフェで授乳ケープを使って赤ちゃんに母乳をあげたところ、店の人に「たくさんの人がいますので…」と注意されて反省し、今後はどのようにするのがいいのだろうか……と投稿したのがきっかけでした。
これについても驚くような声が上がりました。「自分は授乳しているところを見たくない」「子ども連れでカフェに行くな」「トイレで授乳すればいい」「特別な待遇を求める子持ち様だ」などというものです。
「母乳は血液から作られているので、血の穢れを想像したくない」という奇想天外な批判もあり、これには笑ってしまいました。確かに乳汁は体液から作られますが、そんなことをいったら牛乳も同じです。カフェラテやチーズなどの乳製品を見ても牛の血液を想像しないのに、母乳だけそうなるのはおかしなことでしょう。

