商品名の由来は「レッツウォッシュ」
温水洗浄便座の代名詞、ウォシュレットの発売は1980(昭和55)年なので、一般に普及し始めるまでに10年以上の年月がかかったのである。最適な水温、水の当たる位置や角度を探り、多くの試行錯誤を経て、ウォシュレットを完成させた。
ウォシュレットという商品名は、「レッツウォッシュ(洗いましょう)」という英語をひっくり返したものだ。
その後、ウォシュレットを世に知らしめたのが、発売から2年後の「おしりだって、洗ってほしい。」のテレビCMだった。これで、ウォシュレットはその認知度を飛躍的に高め、普及率が急激に上昇していった。
日本の一般家庭において、温水洗浄便座は、新築やリフォームの際の常識となっていき、2016(平成28)年には普及率80パーセントを超えるようになった。商業施設やホテル、駅などのパブリックスペースや旅客機、鉄道などの乗り物にまで設置されている。
温水洗浄機能とともに普及した温便座や、TOTOの「音姫」に代表される擬音装置、人感センサーで自動開閉するふた、自動洗浄機能など、いずれも日本で開発された機能だ。
「健康管理」の場と進化しているトイレ
このように日本人はサイエンスとテクノロジーの力でもって、ウォシュレットの吐水技術だけでなく、脱臭機能、洗浄機能を向上させるなど、トイレを「きれいな空間」「快適な空間」へとつくりあげていった。
便器の機能は、微細泡沫による洗浄力のアップと節水の両立、除菌機能、汚れのつきにくい形状や素材の開発など多岐にわたっている。さらに、スマートフォンと連動し、健康チェックなど個人データを管理するものも現れている。
温水洗浄便座は、もともとはアメリカからやってきたものなのに、わが国で独自の発展を遂げたのだ。本家アメリカではそんなものがあったことすら忘れ去られているようだ。これは日本人の清潔好きが大きな理由の1つではないだろうか。「トイレ」はまさに清潔さを象徴するものなのだろう。
日本で育った温水洗浄便座は、現在、TOTO以外に数社から発売され、さらなる技術開発でしのぎを削っている。
桟橋式トイレからウォシュレットまで、利便性や衛生面においてトイレの進化が果たした役割はとてつもなく大きい。日本のトイレは、これからも世界のフロントランナーであり続けるだろう。



