団地が「くみ取り→水洗トイレ」に変えた
現在、日本人のほとんどは水洗トイレを使っているが、水洗トイレは、下水管と汚水処理場を持つ下水道か、屎尿浄化槽(合併浄化槽)が必要だ。便器に落とされた排泄物はそのつど下水に流され、下水を通って汚水処理場に集められ、一括して浄化処理されるか、あるいは、浄化槽に導いて浄化したのち、下水、川、池などに流される。
水洗トイレの普及に大きな影響があったのは、日本住宅公団の団地だった。住宅公団が設立された1955(昭和30)年頃は住宅不足が深刻で、その対策として都市部を中心に積層の集合住宅がつくられていった。積層でくみ取りトイレはつくれないため、水洗トイレが導入された。1958(昭和33)年には初めて洋式トイレが採用され、それを追いかけるように下水道と合併浄化槽が普及していった。
水洗トイレが出始めた頃は、1回に20リットルもの水が必要だったが、1970年代に入り、1回16リットルですむようになった。現在では1回につき4~5リットル、最先端のものでは3.8リットルですむようになっている。
実は日本生まれではない「ウォシュレット」
海外から日本に旅行に来て、1番感激したことは何かという問いの答えで多いのがトイレのことだ。空港、ホテルは当然のこととして、デパートなどの商業施設、さらには町中のスーパーマーケットにまで温水洗浄便座が備えられている清潔なトイレに、外国からの旅行者は大きな驚きを覚えるとのことだ。
そして、現在、温水洗浄便座は一般家庭にも広く普及している。
温水洗浄便座は日本の発明ではなく、医療用としてアメリカで開発されたものだ。日本ではTOTOが1964(昭和39)年に、アメリカンビデ社の「ウォッシュエアシート」を輸入し、販売したのが始まりである。
国産初の温水洗浄便座は、伊奈製陶(のちのINAX、現在のリクシル)が1967(昭和42)年に発売した。TOTOも同じ年にアメリカンビデ社より特許を取得し、「ウォッシュエアシート」の国産化に踏み切った。
一般向けの商品を目指したものの、温水の温度や発射される温水の方向が不安定だったことから、評判はよくなかった。そこから、独自に「温水洗浄便座」の開発をスタートした。

